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パンみみ日記「眠れぬ夜は水浴びマーモット」

日々のできごとをかき集めました。パン屋に置いてある、パンの耳の袋のように。日常のきれはしを、まとめてどうぞ。5個くらいたまったら店頭に置きます。

11月12日(日)
お馴染みの喫茶店へ。本を読んでいると、マスターに「何読んでるの〜?」と話しかけられた。手にとっていた「舟を編む」(三浦しをん)の表紙を見せながら答える。

「辞書を作る話なんです。三分のニくらい読んだんですけど、おもしろくて」

「おっ、知ってるよ〜!最後の方にさ、おっと驚くことがあるから、楽しみにしておいて。ここらへん」

そう言いながら、マスターは本の後ろの方のページをつまんだ。歳が離れていても、本という共通言語は人と人を繋いでくれる。

お会計では、マダム店員が「涼しくなってきましたね。このぐらいの方が、走りやすいでしょう。またマラソン出られるんですか?」と話しかけてくれた。

前回マスターとした会話を聞いて、覚えててくれたんだ。嬉しい。思わず「また出たいと思ってて!」と再び答えてしまった。出るんですか。

この喫茶店にもだいぶ馴染んできた。受け入れられたような気がして、にじむような温もりが心を丸くする。

そんなやりとりを、青年バイトがカップを拭きながら眺めていた。

あと、おしゃべりできていないのは君だけだ。


11月13日(月)
夜、寝つけなかった。余計寝られなくなるとわかっていながら、スマホでYoutubeを開いてみる。すると、ある動画に釘付けになった。

マーモットがシャワーを浴びている動画。それ以上でもなく、それ以下でもない。ただ、シャンプーされている。それだけなのに、心を鷲掴みにされる何かがある。

マーモットの感情が読み取れないのだ。嫌がっているようにも見えるし、気持ちよさそうにも見える。もはや何も感じていないのかもしれない。

そして、立ちんぼのマーモットがおじさんにも見えるし、赤ちゃんにも見える。「何言ってるの?」と思っているだろうけど、いったん見てほしい。逆にどっちに見えるか教えてほしい。

今やYouTuberが奇想天外な企画を立てたり、テロップなど編集にこだわったりして、質の高いコンテンツをあげている。

一方で、BGMもテロップも何もないマーモット。せめて鳴き声の一つでもあればいいものの、終始無言。

なのに、なんでこんなに魅了されてしまうのだろう。眠れない夜は、水浴びマーモット。


11月14日(火)
仕事終わりに図書館へ。新着図書コーナーに、読みたい本があるのを発見。早速手に取って貸出コーナーへ。カウンターにはいつもの司書さん。

今日こそは。あの人に話しかけるんだ。大丈夫。借りる本の流れでスムーズにいこう。いかにも平然とした装いで言葉を置いてみる。

「新着図書、出たんですね。図書館って、どのくらいの頻度で新しい本を入れてるんですか?」

司書さんは少し驚いた表情を見せたものの、スルスルと話し出してくれた。思った以上にいろいろな情報を伝えてくれる。

最後に、「この本読みたくて買おうと思ってたので、すごく嬉しいです」と司書さんに伝えて会話を締め括った。司書さんはいつもの事務的な表情とは違い、微笑みをこぼしていた。

よし!はじめておしゃべりできた!あの人にオススメの小説を教えてもらえる未来まで、少し近づいた。勇気を出したよさく、えらい。

借りた本


11月16日(木)
仕事終わりにスーパーへ。ふらふらと歩いていると、お弁当箱コーナーに目が止まった。

(お弁当作れたら、いいのにな)

心によぎる。ぼくの職場では、手づくり弁当を食べている人が結構いる。奥さんに作ってもらったり、自分で作ったり。

お恥ずかしながら、ぼくは社会人6年目にして手づくり弁当を職場に持って行ったことがない。自炊をすることはあっても、弁当はハードルが高いのだ。全部茶色の野球部みたいな彩りになりそうだし。

でも作ってみたいな。ちょっと憧れる。そんな感情を抱いた瞬間、棚にあるお弁当箱と目が合った。なにこのときめくデザイン!君を連れて職場に行きたい!

気がつけば、白くてやさしいフォルムのお弁当箱を手に取っていた。…勢いだ。カタチから入るのが大事だ。ハーフマラソンもエントリーしたら無理やり走るようになった。お弁当箱も買っちゃえば、作らざるを得なくなるのでは…?

お迎えした

どんぶりジャースタイルなので、おかずを1つでも作れば様になる。

来週からお弁当作りがんばるぞい!!(と言いつつ、来週は飲み会が多く実家にも帰るので延期になった)

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