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YOSAKOI SORAN NEWS_Vol.6


地域を盛り上げる「祭り」を自分たちの手で
この夏、チームがつくる「祭り」が街を彩る!

 夏、イベントシーズン真っ盛りです!北海道各地でも夏祭りが開催され、多くのイベントでYOSAKOIソーランの演舞が披露されています。地元の祭り内の一イベントとして開催されるものから、YOSAKOIソーランを中心とした祭りまで規模も特色も様々。コロナ禍で中止・縮小していたイベントも復活し、活気が戻ってきました。
 そんな中、チームが主体となって地域で新たな祭りをつくる動きもみえてきました。その中心にいるのは、若いリーダーたち。どんな想いで活動しているのか、チームに迫ります。

 6月のYOSAKOIソーラン祭りが終わると、北海道は本格的なイベントシーズンに突入。各チームも、地域のイベントや祭りに多数参加し、踊りを披露しています。
 多くの祭りは、各地域の商店街や商工会、青年会議所などが中心となった実行委員会が運営していますが、中には、チームが運営に携わっていたり、支部が主催する「支部大会」なども。祭りや地域の賑わいに、いまやYOSAKOIソーランは欠かせないものになっています。
 しかし、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、多くのイベントや祭りが中止となった2020・2021年。YOSAKOIソーラン祭りはもちろん、地域の祭りも開催困難となり、チームは活動の場を失いました。2022年に本祭は再開したものの、地域のイベントは再開できないものが数多くありました。
 
 そんな中、昨年8月、石狩市で新しい祭りが誕生。「石狩流星海」が主催する「石狩カムチェプ祭り」です。

祭りの楽しさと賑わいを次世代に

 「子どもが、“祭り”に行ったことがないと気がついて。お祭りってすごくいいものだよ、石狩っていいところなんだよ、と伝えたくて、祭りを立ち上げようと思いました」(石狩流星海 五十嵐代表)
 子どもたちが暮らす石狩をもっと活気づけようと、祭りを立ち上げました。チームのメンバーに呼びかけ、運営や出店も手作り。自分たちだけで開催するのではなく、地元商店街との共催にしたり、YOSAKOIソーラン以外のパフォーマンス団体も出演したり、地域の皆さんが楽しめる祭りをつくり上げました。カムチェプ祭りは、今年8月20日(日)に第2回目が開催されます。
(石狩流星海 五十嵐代表のインタビューは後半に別途掲載)

縁日コーナーもチームで手づくり
キッチンカーでグルメも楽しめる祭りに

小樽に新たなムーブメントを

 かつて北海道経済の中心地として小林多喜二が「北海道の心臓」と表現したまち・小樽。その小樽に、全道のYOSAKOIソーランチームが集まるイベント「SORAN HEART FESTIVAL」が、今年9月に開催されます。
 開催に向けて奔走しているのは、小樽市の「YOSAKOIソーランチーム 傾徒(かぶと)」の砂田代表。大学入学とともに小樽に住み、卒業後も小樽で働きながら傾徒を立ち上げた砂田代表は、今回のイベントを立ち上げたきっかけについてこう語ってくれました。
 「YOSAKOIソーランのソーラン節って、ニシン漁のヤン衆の歌ですよね。小樽ってそれがすごく似合っているのに、あまり盛り上がっていないな、と。大学生のころから、もし自分が今後もYOSAKOIと小樽での生活どちらも続けられるなら、いつか何かやりたいというのは思っていました。」

イベントの告知画像(チームSNSより)

 チーム結成5周年を機にイベントの開催に向けて動き出し、地元の団体や企業にひろく協力を依頼。YOSAKOIチームだけではなく、“小樽を盛り上げたい”という有志によって、小樽築港エリアの「小樽港マリーナ」を舞台に、ビアガーデンやキッチンカーとともにYOSAKOIソーランを楽しめるイベントとして開催します。「イベントをやろうというときに、築港エリアを盛り上げたいという想いをもった人と引き合わせてもらった」という砂田さん。「実際に動き出すと、小樽の人のYOSAKOIソーランの認知度って思った以上に低くて。ぴんと来ていない人が多い印象ですね。でも、これまでの活動や仕事でつながってきた人たちが、“なんか面白そうなことやろうとしてるぞ”と応援してくれる。わくわくしてくれているのを感じています」

 かつて、鉄道と北前船、陸路と海路どちらも使って全道全国から物資が運ばれ、またそこから広がっていく様を動脈と静脈に例えて「北海道の心臓」と呼ばれた小樽。今回のイベントでは、遠くは函館や稚内からもチームが参加。全道のYOSAKOIソーランチームが小樽に集まり、小樽でいい経験をして地元に帰ってもらいたいという想いから、「心臓」とリンクして「ハート・フェス」と名付けられました。

 「今回約20チームが参加しますが、ほとんどが小樽で踊ったことがない。だからこそ、こんなにすごいチームが今回みんな小樽に来てくれるっていうのを押していきたいですね。YOSAKOIソーランを見たことある人はもちろんですが、まずは小樽の人たちに来てもらって、新しい風を感じてほしいなと思っています。
 今回、市内のスポーツ団体の子どもたちが出てくれるんですね。その子たちが興味持ってくれて、今後ジュニアチームにつながってほしいなと。で、シニアチームも立ち上がってほしい。それが、ハート・フェスの数年後のビジョンですね。YOSAKOI業界に起こすムーブメントとしては、小樽にジュニアチーム、シニアチームを。小樽に起こすムーブメントとしては築港エリアの活性化。この二つのビジョンでやっています。」

人と人、人と地域のつながりがまちを元気に

 チームは、これまでも地域に支えられ、地域とともに活動してきました。しかし、祭りが誕生して30年。祭りのすそ野がひろがり、“踊り”を楽しむ人が増える一方で、地域とのつながりが薄れているのではないか、と感じることもありました。
 そんな中で訪れたコロナ禍を経て、改めて、地域に目を向ける新しい世代が増えてきたことを感じています。リアルな人と人のつながり、コミュニティこそが、YOSAKOIソーランの底力。新しいリーダーたちの挑戦に、どうぞご期待ください!

《第2回石狩カムチェプ祭り》
日時:2023年8月20日(日)10:00~16:00
会場:石狩市役所前広場

《第1回 SORAN HEART FESTIVAL》
日時:2023年9月3日(日)10:00~16:00
会場:小樽港マリーナ


チームインタビュー:
地元・石狩の活気と賑わいを未来を担うこどもたちへ(石狩流星海)

世代を超えたひとつの「家族」

―どんなチームですか?

 幅広い世代が参加しています。子どもから大人まで、年齢制限は設けていないので。世代を超えて一つのものをつくるというところが、このチームのベースだと思います。

―ご自身はいつから参加を?

 2007年、高1からで、2017年から代表を務めています。 最初は踊りに魅力を感じて入ったけど、実際に入ってみるといろいろな人との関わりがあって、世代が10・20上の人もいれば、下の人もいる。学校になかなか行けない子など、様々なバックボーンを抱えてる中でも、踊り一つで家族のように楽しめる活動ってのはいいなあ、と思って。その子のお母さんに「流星海に入ってから明るくなった」と言ってもらえたのはすごくうれしかったですね。

3世代がひとつに

こどもたちへの想いが「祭り」に

―昨年の8月にチームで「石狩カムチェプ祭り」を開催されましたね。きっかけを教えてください。

 コロナ禍で祭りがなくなってしまって、石狩もそれは同様で、本当になにもなかった。僕には娘が3人いるんですが、(その当時)次女は祭りに行ったことがない、と気が付いて。このまま祭りのない石狩で育てるのは嫌だなと。石狩ってすごくいいところなんだよ、お祭りってすごくいいものなんだよ、と伝えたくて、祭りを立ち上げようと思いました。まずは街の子どもたちのため。それから、石狩がもっと活気づくように、と。この二つですね。

―なるほど。それを自分で実際につくってしまうって、なかなかできないと思うんですけど。

 毎年参加している砂川の祭りがあるんですが、そこは、地元チームが自分たちでお金集めから飲食、ステージを組むところまでやっているんです。自分たちの手で1からお祭りをつくり、そして踊る姿に感動し、自分たちも祭りをやりたいという想いがずっとあったのが大きいですね。もともと流星海も地元の祭りを盛り上げるためにつくられたチームなんですが、時が流れて、自分たちで祭りの運営はしなくなっていて。「あれ、聞いてた話と違うぞ」と。流星海の原点は祭りを作って、祭りを盛り上げて石狩を盛り上げることなんだっていう想いが漠然とあったので、いつか祭りをやりたいと思っていました。

―祭りをやりたいと言った時の周りの反応は?

 祭りをつくった経験のある初期のメンバーは「大変だぞ、やめておけ」っていう感じで。「なめんじゃねえ!」みたいな(笑)親心もあるんですけど。ほかは、「え?」「何言ってるの?」って感じでしたね。一部の役員とは話はしていたけど、正式に「やるぞ!」って会議にかけたのは、 6月の本祭が終わってから。「今年の夏もイベントありません。このまま活気がなくなるくらいなら、もう自分たちでお祭りつくって街を盛り上げていきませんか」と。そこからは半ば強引にすすめちゃいました。準備はめちゃくちゃ大変でしたけど、「やめたほうがいい」と言っていた人も、終わってみたら180度変わって。「やってよかったよね」「来年もやったほうがいい」と言ってくれるようになりました。

こどもたちと一緒にポスター配り
昨年のカムチェプ祭り会場の様子

―ご自身は実際に祭りを終えて、どうでしたか。

 めちゃめちゃ楽しかったです。自分たちの地元にこれだけの人を集めて、これだけ来てくれるチームさんがいて、出店の皆さんがいて。このお祭り本当に人できてるなって思ったんですよね。それができるこの石狩流星海というチームっていいなって思ったし、街に活気を生み出すことができてよかったと思ったし。コロナ前ぶりに会う人もたくさんいて、いろんな人と繋ぐお祭りであったっていう点もすごく良かったなって思っています。

―2回目の今年はどんな祭りにしたいですか?

 今年は昨年から進化してステージを作ります。どうしてもステージのあるお祭りをつくりたくて。ステージがあることでパフォーマンスが映える。理想としては、そこで踊る僕らをみて、子供たち、次世代に繋がっていってほしいという夢は持っています。僕が砂川の祭りを観てかっこいいと思ったように、僕らが作ったお祭りを地域の子供やうちの娘たちが見て「かっこいいな」「石狩盛り上げることってかっこいいな」と思って、次の世代が祭りをつくってくれたら嬉しいなって、そんな妄想をしてます。

―これからのチーム、どんな姿を描いてますか?

 チームとしての目標はやっぱり石狩を盛り上げる、この 1 点に尽きると思ってるんですよね。今回は「祭り」というアプローチで盛り上げてますけど、それ以外でもいいんです。とにかくYOSAKOIソーランという踊りを使って、その中で得たノウハウだったりご縁であったり、そういったものを使って地域をどんどん盛り上げていくような団体になりたいと思ってます。

〈PROFILE〉
●チーム:石狩流星海(いしかりりゅうせいかい)
1996年の七夕(7月7日)に結成。世代を超えた仲間たちと地域に根付く活動に力を入れている。2005年、石狩市より「いしかり観光大使」第1号に任命。道外の姉妹都市などでも演舞を披露。

●回答者:五十嵐悠哉さん
1991年、札幌市手稲区生まれ。2007年からチームに加入し、2017年からチーム3代目の代表をつとめる。現在は石狩市在住。


Pick Up Topics

「みんなの写真展inル・トロワ」 全国から寄せられた200点の写真を展示

 キレイのランドマーク「ル・トロワ」にて、公募型写真展を初開催しました。全国から寄せられた写真は約200点。踊り子の一瞬の表情や熱気を捉えた写真が多く集まりました。また、コンテストも行い、優秀な作品には賞を贈呈しました。
《YOSAKOIソーランみんなの写真展inル・トロワ》
日時:2023年7月1日(土)~17日(月祝)17日間
場所:ル・トロワ 7Fイベントスペース(札幌市中央区大通西1丁目13)


「第70回よさこい祭り」に北海道から3チームが参加!

 YOSAKOIソーラン祭り誕生のきっかけとなった、高知県で開催される「よさこい祭り」が今年第70回の節目を迎えます。それを記念し、北海道から3チームが8/12の全国大会に参加!
 第1回YOSAKOIソーラン祭りに参加した「セントラルグループ踊り子隊」の当時の作品を踊る『YOSAKOIソーラン祭りオフィシャルチーム』に加え、「平岸天神」「バンザイ!!NARUKO CARNIVAL」の計3チームが参加します。オフィシャル合同チームには、全道のチームを中心に約90名が参加。よさこい祭りの70周年をお祝いします!


札幌市「Creative Knock 2023」のCG制作ワークショップにて
『未来のYOSAKOIソーラン祭りで踊るロボチームをつくろう』が制作テーマに

 2013年にユネスコの「メディアアーツ創造都市」に認定され、若手創造人材の育成に取り組んでいる札幌市。昨年に続き、無料のCG制作ワークショップを今年も開催しました。
 今年の制作テーマは『未来のYOSAKOIソーラン祭りで踊るロボチームをつくろう』。YOSAKOIソーラン祭りの踊り子の動きをAIモーションキャプチャーし、参加者がそれぞれ自分のロボットに踊らせます。
 ワークショップは8月5日(土)・6日(日)に実施され、札幌近郊の幅広い世代・20名が参加。参加者全員で作り上げた「未来のさっぽろの風景」は、今後、札幌中心地の大型ビジョン「AUMIRU」で公開される予定です。YOSAKOIソーラン祭りでは、動きのもととなるモーションキャプチャーの撮影に協力させていただきました。
 どんな「未来のYOSAKOIソーラン祭り」が見られるのか、とても楽しみです!
https://creative-knock-2023.peatix.com/