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漆のこと

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2023年3月の記事一覧

人を呼ぶ木 -伐られたウルシ-

人を呼ぶ木 -伐られたウルシ-

先月、鳥栖漆の木が伐採されました。
記録としてここにひっそり(?)記します。

正確に言うと、
切り株になったもの、上半分が無くなっているもの、無傷が3本(うち2本は日陰で細身)です。

様々な事情で伐採されるかもしれない話は聞いていましたが、突然のことで呆然としました。
2月23日、数名で分根の準備に行き、木が伐られていることを知りました。

3月7日の分根には20名弱のお申込みを頂いており、そ

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思い出のお椀

思い出のお椀

お椀五客の塗替えです。
乾燥で内側がひび割れ塗りが浮き上がっていました。口縁部は木地から割れています。

亡きご両親の金婚式の引出物だそうで、思い出の品なのでいつか塗替えをと思いながら、長年しまわれていたそうです。

桐箱に秋田の「川連漆器」の文字がありました。

漆は目的の色を作ることがとても難しい為、修繕の際に同じ色を再現するのに時間を要します。

「共漆(ともうるし)」と言って、制作者は制作

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修繕の気付き -彫漆香炉台の話-

修繕の気付き -彫漆香炉台の話-

大陸調の香炉台で、四方には緻密な天人と龍があしらわれています。

最初は彫漆(堆朱や堆黒などの様に漆を塗り重ねた層を削る技法)かなと思っていましたが、よく見ると彫漆の部分と「木彫に漆を塗った部分」がありました。

部分的に金箔が見え隠れしており、寺院特有の油煙汚れではないかと伺っていましたが、こちらは理由は定かではありませんが、汚れではなく箔の上から「意図的に漆が塗られた」ものでした。

お直しを

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