破れた絵本

ふと目を覚ませばどこかの洋館の一室
子供部屋かな?
白いさんの透明な窓は高く高すぎて光が届かず薄暗いこの部屋
何故子供部屋かって?
ほら、木馬がゆらゆら手にほつれがあるピンク色のウサギのぬいぐるみ
家かお城を作ろうとして崩れている積木
あの蓋した木箱には空っぽのプレゼント箱
小さなテーブルに散らかるクレヨンと虹と空と雲と地面がない渦巻き模様の空だけ
本棚に散乱する小さな絵本たち
おや?一つだけビリビリになった本がある
赤いワンピースのおさげの少女が描かれている

空も鳥も蝶々も
太陽も月も雲も仲良しこよし
木も花も草もある
あるけど色がない
虫もいる
けどなんで地面がない
少女のスカート長くないのに足が出ていない
スカートの裾からはみ出す赤
かなり下に赤い丸
これは靴かな?
あれ?少女の頭と胴体の間がない
手も腕もあるのに間が描かれていない
破れているのだろうか?
この絵本の下がない
ページがない
ビリビリの本は最初から破れていたと?
よく見たら少女の目はあるのに鼻がない口がないほっぺが異常に赤い
それは顔の横にはみ出している
おや耳もない
次のページにも描かれている少女は赤い縁取りで輪郭すらはっきりしない
更に次は顔だけ
そこから少女は登場してない?
いや、あの赤いチューリップ、少女の手みたい
あの少女は存在していたのだろうか?
おやおや、外から子供達の歌声
少しずつその人数が減っていく
目の前が破れていく
気がつけば元の部屋にいた
あの少女の記憶の夢か?

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