第1話 ロック、もしくはシックスナイン
青イ春はもう終わっちまったんだ。
だけども青イ春はくすぶってんだ。
なぁ、小豆色した阪急電車が真っ青に変わった瞬間を知ってるか?
俺はちゃんと知ってる。
「なぁ? 昨日シックスナイン観た?」
同じクラスの小鳥遊翔《たかなしかける》が結構デカい声でのたまった。
「あ?」
「それ言うならシックスセンスやろが」
「あ///」
周りの乗客は聞こえてたと思うのに誰も無反応だった。
けど確実に空気が冷えて変色したのを俺は見逃さなかった。
一瞬だ、一瞬。
瞬く間もあったもんじゃない。
小鳥遊がギターに出会う少し前。
――俺が世界を歌う少し前のこと。
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