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トーチカ。


最初に煉瓦を一片、
足元に置いたことから始まる
赤茶けた隙間にコンクリートを溶いては重ね続けた
微動だにせず、揺らしもしないで埋め、
背丈を追い越して

僕はそれを要塞《トーチカ》と呼んだ

身動き出来ないことは 予め予想していた
自分が選んだのだから 期待してたのかも知れない

目の位置にだけ覗き窓を作って眺めた

たまに鈍い眼の色をした
似たような姿もいたが
気のせいだった
憐みの視線は刺さらなくなった
受動する器官は閉じたみたいだ

次第に薄れゆく感覚
皮膚は土塊と同化した
耳も 鼻も

もし、内側から瓦礫を壊す術を知っていたなら

それは 希望だったろう
それは 愛だったろう

残念ながら
何から護る為の要塞だったか、これ以上は考察できない




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