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第4話 夜明けのニャアアアア!!!!
確か、雨が降ってた。
そもそもロッカーは傘なんてささねぇし、チャリ乗りながら傘さすなんか関西のオバハンだけだ。
うちのオカンは、さすべえ愛好家だ。
だから俺はズブ濡れだった。
深夜バイトの帰り道、新京極らへんをチャリを漕いでいた。
確か、寒かった。
観光客もいないこの時間、商店街の路地裏、近道しようと突っ切った瞬間に黒い物体が飛び出してきた。
「……!」
ハンドルを旋回したら左の壁に肘をずるずると擦ってしまった。
血が滲んできた。
あっぶねぇ、もうちょいで轢いてまうとこやった。
尻尾が曲がった、濡れそぼった仔猫だ。
目つきが悪い、というか、ブヨブヨしてる。
鼻の周りも汚れてて、なんていうか気の毒。
触ろうとすると、シャーっと手に噛み付いてきやがった。
夜明けのミュウ
君が泣いた
眠れない夜~
だっけな?
オカンがよく口ずさんでる歌謡曲。
適当なフレーズが適当な旋律と適当な声で、頭ン中を駆け巡った。
このブサイクな仔猫はきっと猫オカンに捨てられたに違いない。
しかも愛嬌がないばかりか凶暴やしな。
誰も見向きもしないやろな。
ちなみに人間で何かの拍子につけ「にゃー」って言うやつを俺は信じねぇ。
暴れる仔猫を無理やりリックサックに詰めて濡れる中、家路を急いだ。
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