マガジンのカバー画像

詩集

65
¦過去の作品をまとめています。
運営しているクリエイター

#物語

「あくまで主観を研ぎ澄ますものに」

ある男から壺を買った 身体がすっぽりと入る巨大な陶器製の壺は鳳凰の眼が滲んで安っぽい孔雀…

Dutch wife

合理化のもと いっそあたしは空気人形で 利用される時にだけ機能を発揮して 用が無ければ物…

「   」

緩やかな洗脳につき くるくる廻る宇宙を模した遊具は撤去され 代替えの閉塞感型地雷が埋め込ま…

爪切りのある場所

からか ら 殻々と 一秒間は七枚の連続 光線がinputからoutputへ回帰する頃 そこは暗闇 16mm…

夕闇通り七番街、店名は「深淵」でス。

そこは名称、夕闇通り フラストレーションの重みでシャッター閉まった七番街 不確かな足取りの…

獏の視る夢

ばばく、ばく 獏が僕の夢を食べたのだろうか (この場合の夢とは夜に見る夢ではない) 謎の飛行…

春の嵐

きもちわるい 猫の唄 闇に光るピカピカおめめ 充血し柔い肉球に私の中のをんながざわわと動き出すから どうか耳栓を下さい どうか 耳障りな本能の唄が聞こえてきませんように 満月の集会で貴方が腰に手を回すから壺の露が溢れ出ようとした 眼だけは何とか逸らして回避する煩悩 ざりりとした舌の感触が下半身を思い出させて嘔吐した 拒否反応は裏を返せばをんなの記し 厭だ厭だ 猫にはなりたくない 事を終えた後、天鵞絨のような空が広がったとしても 世界が豹変する様を見たくはもう無いから

サンタクローズが去った朝に

髭面の聖者が街から去った日 煤《すす》とリボンの切れ端が転々と 街灯の光線が朝焼けに同化す…

不眠魚

深夜、落涙の海に 背鰭に輝く綺麗な名前の名札を 月光に反射させて 水面下は二重の曲線が交錯…

空豆の空

空豆と云う響きは悲しい 雨が降る午後に空豆の皮を剥いた 四角い箱からは当たり障りの無い …

トーチカ。

最初に煉瓦を一片、 足元に置いたことから始まる 赤茶けた隙間にコンクリートを溶いては重ね続…

夕闇通り七番街、店名は「深淵」でス。

夕闇通り七番街のシャッター閉まった細い路地裏 野良猫がたむろしてマーキングに忙シない 小雨降る夜に…