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魔女

何処にいるのか、なにをしているのかわからないけれど
なんだか毎日たのしそうだなぁ、と思われる人間に憧れます
朝日がのぼるすこしまえに目が覚めて
空気よりすこし重いカーテンを しゃっ、とあけてまだ誰にも汚されていない空気を吸って吐いて
おはよう
いつかの昼下がりにコトコト煮込んだジャムをちょうどいい焦げ目の食パンにたっぷりと
サクッと噛めば一日のはじまりの音がします
こどもたちが登校して静かになった住宅街はすこし寂しいけれどおとなの時間です
ちょっと手狭な自慢の庭はわたしだけの世界で
いのちの音がきこえてきます
夕餉の支度に忙しく一段落ついて窓を覗けば
太陽とはもうすぐお別れ、月がくるよ
月光はすべてを清くうつしてくれるようで時々なんだか落ち着かなくなります
防犯灯の真下にいる猫はきっと夜の使いね
星に願いをこめることはないけれど
いつだって世界を包み込む存在に安心します
夜は自由だよ
見たいものだけ見ていいのだから
あしたはドライフルーツができる頃かな
おやすみなさい


作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。