嫌いになれない夏
甘くないスイカを無言で食べ終えて夏の始まり感じてみたり
君の血を味わった蚊を掌で叩き潰して復讐遂げる
枯れかけの向日葵畑かき分けて行方知れずの君の名を呼ぶ
世界からとり残されているみたいゲリラ豪雨と居残る僕ら
バス停で蝉の鳴き声聴きながら世界の終わり願ってみたり
飲み干した瓶を青空にかかげて君とおんなじ夏を見たいね
線香花火が生きてるあいだ君のすきなところ教えてあげる
駅前の鳩追いかけるこども見て平和っぽいねと微笑む君
線香の香りまとわせ微笑む君はきっと死と旧友ね
真夏日の入道雲に溺れたい夏と心中した気になって
ゆらゆらとアスファルトからにじみでる熱のむこうに君を見つけた
強炭酸を飲み干してあの夏の青春取り戻した気になる
夏だから夜中にひとりコンビニにスイカバー買いにでかけてもいい
自分より背丈の高い向日葵がこわくなった君のいない夏
目が覚める夢のむこうに大切ななにかを忘れてる夏の朝
予感して裸足で玄関あけたらスイカひと玉抱えてるキミ
いつになく不機嫌なきみ濃いめのカルピスつくるから笑ってよ
すくってもすくえなくてもひと夏の金魚の赤が鮮やかすぎる
熱々のプールサイド歩くから温くても許す市民プール
当たり前に麦茶沸かすきみのこと夏毎に好きが濃くなってる
頭キーンとならないかき氷食べに行ってエモくなりましょう
暑い!と空に叫ぶ君の声はどこまでも爽やかな夏
昨日から冷凍庫に眠ってるガツン、とみかん 夏が終わるね
作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。