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迷子

秋の夕方、誰かに呼ばれた気がする

迷子になってしまいそうな空気のにおい
懐かしくて、すこし焦げくさい、でも嫌いじゃない

夕日を背にしてのびる影につられてどこまでも歩いて歩いて街のすみっこ
あと数歩進めば消えてしまえるかな
あかく燃える夕日にとけて一部になる

もうおうちに帰ろう、チャイムが鳴ります
誰でもないそれがわたしを現実に連れ戻す

何処からか漂う夕餉のにおい
わたしを迷わすにおいは消えて
誰かに呼ばれることを待っている

作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。