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梅雨

雨の日は無理して笑わなくても許されるような気がして
傘で表情の見えない君の機嫌をうかがわなくても許される気がして
雨音だけがふたりを隔てているのに、とても遠くに居るみたい
世界の音をかき消してくれるこの音が嫌いになれません
湿気でヘアスタイルが崩れるからと愚痴をこぼす君はかわいいよ
すべてが洗い流されてリセットされたらいいのに、と
スタバのカウンターから眺めながら飲むフラペチーノは味気ない雨の日にはちょうどよくて
iPhoneには君からの電車遅延を理由に遅刻するとのメッセージ
きっとお気に入りの花柄の傘をさしてスカートにはねる雨粒を気にしながらやってくるのだろう
晴天みたいな笑顔を向けながら
ビルの隙間を仰げば光が一筋みえて僕だけの世界がおわる音がした

作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。