銀色のボウルで卵をとく
朝日がボウルに反射して、黄金色のいきもの未満を丁寧に菜箸でほぐして
夢の淵にひっかかったままの心もこちらがわに連れ戻す
白いお砂糖の依存性は麻薬と似ているんだって
スイパラでこっそり君は教えてくれたね
それでもわたしたちは逮捕されない
女の子はお砂糖とスパイスの配分がたいせつです
甘く薄く焼いた卵焼きをくるくると
からだとこころのシンクロを確かめるように
菜箸はいつまでたっても長くて
このくらいの不自由さをみんな愛すべきだよ
合羽橋でみつけたちょっと渋めのお皿に盛り付けて
湯気が朝日に吸い込まれる
ようやく馴染んだからだに おはよう
きょうもちゃんとわたしは生きている
いただきます

作品をまとめて本にしたいです。よろしくお願いします。