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鬼太郎をみろ

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この記事は11/26に別所で公開された記事をそのまま転記したものです。
鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎を見てきた直後の勢いでネタバレなしで書きました。
それではどうぞ。
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いいから今すぐ映画館行って見てくれ!
ってフォントでかくしてしまうほど良かったから見てくれ・・
近年観た映画でもトップの出来だった。
俺の好みにぶっ刺さったってのも多分にあるけど。

そもそも鬼太郎は何年か前にやってたやつを観ててすごく好きだったんだ。
全部は見れなかったけど確か半分・・50話くらいまでは観たはず。
時にはリアタイするくらい好きで観てたんだ。
キャラも可愛いし作画も良かったし、視聴を続けたのは何より脚本が良かったからなんだ。

一話完結で一応キッズ向けではあるけど、成人が観ても視聴に耐えうるほど脚本の強度があった。
つかそんじょそこらのアニメが話にならんくらいよくできてたと思う。
だからこそ普段アニメ観ない俺が熱心にみてたわけよ。
CV沢城さんの鬼太郎もめっちゃカッコよくて好きだったし。
普段は我関せずみたいなクールな態度なんだけど、内には熱いもの秘めてる感じが上手く描かれててめちゃくちゃ好きだったんだよね。

…っていう前提があって、なんかたまたま映画の鬼太郎やってるって情報が目に入って。
でも「おー。鬼太郎の映画やってるんだ。みにいくかー」くらいのゆるいテンションだった。
んで見たらすごかったよほんとに。

今回の話は鬼太郎のパパのお話で、いわば鬼太郎の前日譚に当たる。
なので話は終戦ししばらくたった昭和三十一年の話になる。

物語を作る際の基本的なテクニックの一つに、『冒頭で事件を起こす』というものがある。
冒頭で何か大きな事件を起こし、視聴者の興味を引き物語に引き込む訳だね。
特にアクションものなんかだと、冒頭でわりと派手目のバトル持ってくることが多いと思う。
ゴジラ-1.0だって、ゴジラの登場がかなり早かったでしょ?

だけどこの作品はそれがない。わりとぬるっと始まる。

昭和三十年頃の日本がどんな雰囲気だったかは知らないが、どことなく暗い雰囲気を纏いながらこの作品は幕を開ける。

でも気が付いたらこの作品に入り込んでた。

その理由を探ってみたんだが、俺の頭は『空気感』という言葉を導き出した。

主人公の水木はとある事情でド田舎の村へ赴くことになる。

まあ劇場アニメだけあって作画はめちゃくちゃよかったんだけど、田舎の空気感を感じさせる雰囲気があったのよ。

そういった田舎の雰囲気や、森の中にある鳥居の鮮やかさとかを見てて気が付いたら引き込まれてた。
夏公開だったらもっと雰囲気出たろうなーなんて思ったりもしたな。

そのあとやたら透明感のあるシーンがあって「なんか作品ちがくない?」なんて思ったりもしたがそれが後々効いてくるんだこれが。

こうして水木は古い因習に囚われた村と、その中心である龍賀家の思惑に巻き込まれていくことになる。
そう、この作品古き因習を持つ旧家ものなのよ。

そこに妖怪が絡んでくる訳だからいわゆる伝記モノって言われるタイプの作品に近い。
この手の作品に触れるのも久々な気がしたけど、俺この手の好きなんだな~なんて思いながらみてた。

そうした旧家の家族たちの思惑やそれに絡む事件は、旧家モノのミステリっぽさも思わせたな。
旧家モノのミステリって読んだことない気がするけど笑

バトルもちらほらあるけどかなり力入れてる感じしたな。
けどこの辺も大人向けに作られてる感じがした。

映像としても美しく、でもその美しさが逆におぞましかったりしてさ。そういうとこもよかったな。

ここまで言っておいてなんだけけど、話としてはかなり重い。

鬼太郎って意外と勧善懲悪な物語じゃないんだよね。勿論ハッピーエンドもあるけど。
でもそこがまた鬼太郎っぽくて良かったんだよな。

とまあつらつら思いつくまま書いてみた。
今になって考えると「あー旧家モノってそういうノリあるよね」って冷静に考えられたりもする。

けど、物語を見る際に邪魔になるそういった余計な客観性が働かなかったのは、シンプルに引き込まれてたからだよな。

まるで現世から常世へ静かに敷居を跨がせるような、巧みかつ素晴らしい作品を生み出したスタッフの方々に称賛を送りたい。

素晴らしい映画でした。

ド深夜に観に行って良かった。
これは午前3時頃のバルト9。


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