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【第二の人生】43の章:私は生きていたんだよ、忘れないで!それが死者の想い

*登場人物*

  • 萬里→主人公の主婦はお役目を受け入れ、修行中であるが、煩悩だらけの感情的な生き物です。

  • 妹(キヨ)→萬里の実妹。ずっと親代わりに面倒見てきたけど、バカすぎて怒り心頭。行方不明のまま現在に至る。


キヨの次女が居る所へ
案内させた。

緊急だった為か、
まだ移動する前のその部屋は
オペ室?集中治療室?
ガラス張りの外からしか
姿は見れなかったけど、
真ん中の台にちょこんと
横たわっている。

体中に管や機械をつながれ
ただ心臓だけが動いている状態。

目に焼き付いて
離れなくなる光景。

次女はまだ言葉も
よく喋れていなかった、
歩き始めて間もない頃だった。

目の前で、
この状況に至るまでを見ていた
キヨの長女の心も心配。

萬里「あんた、この状態でどうする気?
ただでさえ苦しい思いさせたのに、
心臓が動いてても目も開けられない状態で
無理やり命つないで
かわいそうとは思わんと?!
もう、あんたのせいで
この先歩くことも食べる事も
遊ぶこともなんもできん、
楽しい気持ちも味わえん
なのに機械や薬で心臓を動かして
呼吸させることに何の意味があると?
見るに堪えん!」

キヨ「あと1週間で1歳になるけん、
それまでは生きさせたい・・・。」

萬里「馬鹿か!
お祝いしてもらう喜びも持てなくなった子を
親のエゴでつないでなんになると!?
あんたが馬鹿な事せんとけば、
こんな事にはならんやったろうが!」

キヨ「誕生日に亡くなったら
絶対忘れずに居られるし・・・。」

萬里「はぁ?!そうじゃなかったら
あんた忘れるっちゅーと?!
子供のためじゃなくて自分のため!?
お前に命の期限を決める権利はない!
勝手すぎる!
お前が死ねばよかったとに!!!」

あまりにも怒りが収まらず
人として言ってはいけない事を
言ってしまったが、
妹はいつも周囲を巻き込み
みんなに迷惑をかけて回った。

子供だけには、
そのとばっちりは
いってほしくなかった。

日に日に、
次女の身体には水が溜まり
可愛らしかった顔も原型が
わからなくなりつつある。
肌の色は青白く、
萬里の胸は痛む。

萬里「あんた、この姿見て
なんとも思わんと?
母親なんかやめてしまえ!!!
お前がそうしたいってだけで
振り回して子供はペットじゃない!!!」

もう、
この子の姿を見るのが辛くて、
妹の顔も見たくなくて
病院へは行かなかった。

結局、
誕生日を迎えたその日が命日となった。

キヨは子供たちに
ある車メーカーが出した
車種の名前を付けていた。
この長女の名前は
『セリカ』
セリカの妹分として
売り出された車の名
次女は『カレン』

セリカは
皆さんわりとご存知かと思うが、
『カレン』という名の車を
頻繁に見たことがあるだろうか?

ほとんど
出回ってなかったような気がする。
萬里は『カレン』という車自体を
知らなかった。

なのに役目を受け入れて
初めて迎えたお盆、
どこから居たのか
全く分からないが、
突然萬里の車の前に赤い車
『カレン』が現れた。

『あ、キヨは多分
カレンのこと忘れてる。
供養も何もしてあげてないんだ・・・。』
と瞬間的に思った。

自分の声が届かないカレンは
萬里に訴えてきたのだと思った。
すぐにあの子の顔は浮かぶ。

この時キヨはすでに行方不明、
今萬里は萬里にできる事を
してあげようと思った。

想いを汲み取り話しかけてあげて
あなたの事は忘れてないよ!
大丈夫!安心しなさい。
と祈る。

そんな事しかできない、
母親に求める愛情を
叔母であろうと他人が
与えてあげる事はできない。

でも、その存在に唯一
気付いてあげられる事ができた
という点においては、
萬里の
「この能力あって良かった!」
と思えた時でもあったのです。

これは、
ほんの小手調べだという事に
後々気付く事になる。

小さな子供の死に直面した事を
思い出すと胸が痛んでしょうがない。

でも、お役目を受け入れて
初めてのお盆はカワイイ訪問者で
良かった・・・。
とホッとして終わるのなら
さらに良かったのだけど
((((;゚Д゚)))))))

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