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【第三の人生】26の章:歴史を知る=亡くなった人の想いを知る

*登場人物*

  • 萬里→主婦でお役目持ち。娘を入れようとしている保育園の過去を知り、なんとも言えない気持ちになっている。

  • H氏(おじじ)→リーマン能力者(本物)いつも、すました顔ですごいことを淡々と話す。冗談は顔だけでお願いしたい。


この保育園、色々施す必要はあるものの、どう考えても現時点での萬里の経験値程度では無理のような気がする。

でも、入園は決まってるし、早急に動かなければならない事もわかっている。

萬里「少し腹が決まるまで時間下さい。そして、あの場所に居る死人の気持ちを理解するために、何が視えたのかもっと詳細を教えて下さい!」

H氏「あの辺りはいくつかの時代のそれぞれに大きな不幸に見舞われた場所のようです。大火事や戦争で大量に人が亡くなり、その時の方々が成仏できずにあの場所に留まるうちに、同じ思いや念が集まり大きな存在になってしまった者もいます。」

萬里「え?!そんなところに子供の集まる場所ができてるんですか?」

H氏「時代が変わると色々なことが忘れ去られるものですからね。それに、よくない方の歴史は書き換えられたり、残されなかったりしますもんね。」

萬里「てことは、悲しいとか、苦しいとか、そういう念の集まりですか?」

H氏「ん~、最初はそうだったと思いますが、年月が経つにつれ感情が変化した者もいるし、長く居ついたために自分たちの居場所として、縄張り意識が強くなって他を寄せ付けない雰囲気にもなっています。」

萬里「でも、大火事とかに関しては広い範囲だろうから、あの園のあたりだけの問題ではないでしょ?」

H氏「確かにそうです。大火事は町全体が喪失してしまうほどの大事件で、お城に仕えていた武家や商人の長屋が連なっていたんですけど、そこがほとんど残らない状況だったようです。
当時は今みたいに消防車が駆けつけて、一気に水をかけるって事もできないので、避難して燃え尽きるのを待つしかなく、とんでもない数の人が亡くなってますね。」

萬里「でしょうね。ほとんどが木造だろうし、火事ほど怖いもんはなかったでしょう・・・。」

H氏「はい、で、その時亡くなった方々のご遺体も一人一人弔うことができず、大きな穴を掘って山積みにしたんです。」

萬里「は?!山積み?お葬式とかは?」

H氏「家族全員亡くなった家庭も多くて、一人一人というところまでは追いつかなかったと思います。みんなまとめてお坊さんがお経をあげ、火葬してそのまま埋めたようです。」

萬里「その数に対して、それだけの対応ですか?」

H氏「はい、膨大な数なので、どうしようもなかったと思います・・・。」

萬里「人の扱いにしては杜撰ですね。そりゃ、全て現代みたいにはできないのは分かりますけど・・・。もしかして、山積みだから高さ的に2階で人影を見るんですかね?」

H氏「たしかに、昔の土地の高さがちょうど2階くらいだったと思います。亡くなった時のままの感覚で生活してますから。それで年月経って、その土を整地してダーッと公園の方まで流したんでしょうね。骨までは出なかったとしても、遺体が埋まっていたことにはかわりないので。」

萬里「そんな場所なんですか?!酷過ぎる・・・。」

H氏「その時だけでなく、他の時代の出来事も重なってるので、やっぱり数の多さは半端ではないですね。」

もう、H氏、
冗談は顔だけにして欲しい・・・。

(。-_-。)

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