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【第三の人生】7の章:波乱万丈すぎる友達も何かしら霊的役目があるのだろうか?

*登場人物*

  • 萬里→主婦でお役目をもってます。あの世の人々の対応から現実を含めた対応に移行しつつあります。修行は果てしない・・・

  • ユカり→ずっと一緒に遊んでられると思ってた2つ上の友達は、心の病と戦いながら毎日頑張ってる。霊アンテナは常に感度良好。


オープン後、元気に働くユカりを見て少し安心していた。

様子見も兼ねて、ミカちんと飲みに行く時は必ずユカりの店。萬里としても屋祓い手掛けた店だから、気持ち他の店より落ち着いて飲める。

ダーリンやその連れも、時々行ってるし、いつもお客さんが居ない日は無い安定した経営だった。

飲みに行くのとは別にも、会いたい時は開店前や閉店後、顔見に行くこともあった。

時々、死に関する話も出てくる。あ、それはユカり自身の死の話ではなくて、ユカりの周りで起こる(った)死に関わる出来事について。

ユカりの母がやっている超会員制のお店は、市の関係者とか公共機関の常連さんで成り立ってて、看板も無く街灯がついているだけ。

外観では何のお店なのか分からない。入口の灯りが営業中かどうかの目安。いつも内側から鍵がかかっている。

常連さんだけが、外からその鍵を開ける方法を知っているので、本当に通りすがりの一見さんは飛び込めない超会員制の小料理屋兼飲み屋。

女性だけで代々経営しているから、危険回避のための知恵のような感じね。初代はユカりのおばあちゃん。おじいちゃんは戦争で亡くなり、女手一つで切り盛りして、子供達を育て上げたという知られていないだけで、久留米では老舗の方なんじゃないかな。

そのおばあちゃんも、ユカりが病気を発症する少し前に亡くなっている。

そして、突然その話は出て来た。

ユカり「今度ね、硫黄島に行くことが決まってね。」

萬里「硫黄島?って、あの戦争の時の?あそこって旅行で行けるとこ?」

硫黄島、戦争に関係してるのは分かる。映画の舞台になってたのも知ってる、けどご存知の通り萬里はかなり歴史に疎い。

クリント・イーストウッド監督の『硫黄島からの手紙』
イーストウッドの映画は好きだし、観たいと思うけど、萬里は、昔から戦争映画が苦手で観ていない。

『硫黄島は、小笠原諸島に属する南北8㎞、東西4㎞の小島だ。よく知られているように、太平洋戦争の末期にはこの島をめぐって、日本軍とアメリカ軍が約40日間にわたり激闘を繰り広げた。
栗林忠道中将率いる日本軍2万129人は奮戦したが、捕虜になった1023人以外は全滅し、米軍も6821人が戦死している。』

現在、自衛隊の基地があるだけで、一般人は足を踏み入れてはいけない島らしい。

戦没者の遺族が、慰霊のために訪れるシーンをニュースで見たことあるような・・・。

ユカり「実はね、うちのおじいちゃんは硫黄島の戦没者なんよ。」

萬里「あ、じゃあ慰霊祭かなんかで家族で行くと?」

ユカり「う〜ん、その行事とはちょっと違うんよね。日本中の硫黄島戦没者遺族から何人かだけしか選ばれない抽選があってね。」

萬里「抽選?」

ユカり「うん、すごい数の人たちの中からなぜか私が選ばれたんよ。姉でもなく母でもなく、なぜか私がね。日本全国の遺族の中でも、志願してもほとんど行けないらしいんよ。
これって凄い事みたいでね、ガイドさんから色々教えてもらって準備はしてるけど、研修も受けたりとかしないといけないらしくて、なんか物々しい感じで、すごくプレッシャー感じてて。」

萬里「で、その行く目的ってなんなの?」

ユカり「遺骨探し。」

萬里「え?あの何十年も前の戦争はまだ終わってないってこと?!」

ユカり「うん。実は、うちのおじいちゃんも遺骨はまだ見つかってないんよ。」

萬里「それって、遺骨あるらしき場所の検討ついた上で行くとよね?」

ユカり「そうだと思う。」

萬里「うわぁ、今のユカりにはあんまり行って欲しくないなぁ・・・。」

ユカり「でもお国の大事な行事みたいだから、選ばれたら辞退できないし、どうせ行くなら、たくさんの人の遺骨を見つけたいとは思ってる。」

萬里「そこ数人の話じゃないんやね・・・。」

ユカり「ホテルがあるわけでもないし、観光でもないから結構サバイバルな感じになるらしいからね、体も整えとかないといかん。
でも、人生の中で何度もない事だし、偶然選ばれたにしては、すごく奇跡的なタイミングが重なってね、呼ばれてるっていうか、これは私の役目かもしれんて思ってね。」

萬里「うん、ユカりしかやれないことかもしれんね。萬里は見えない部分での応援しかできんけど、体調整えて行って来て!」

お店営業しながら病気抱えたままで、正直、大勢の人の死に関わる場所とかには行って欲しくなかった。

昔から、自分のことは後回しで何よりも人の事を想うユカり。その優しさが故、心の病気になったのかもしれない。

見えない者達の影響もそこには少なからずあったし、すごく心配だけど、この話をしているユカりの眼はしっかりと見据えている感じ。

今このタイミングが必要なタイミング、ユカりにとって何か実りになるものがあればいいな。

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