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【第三の人生】8の章:戦争って何一つ良い事ないとあらためて思う

*登場人物*

  • 萬里→主婦なんですけどお役目持ってるので、修行中。あの世とこの世の対応は同時進行が日常になるようです。

  • ユカり→萬里の二つ上の友達。心の病と戦いながらお店の経営をしている、おじいちゃんの遺骨を探す旅に出た。霊アンテナはいつも感度良好。


ユカりは一週間ほどお店を休みにして、硫黄島へ旅立った。

行ってる間は誰とも連絡を取れないとの事だったので、萬里は、「帰って来たよ!」の連絡をただ待っていた。

ユカり「萬里!帰ってきたよ!」

萬里「話聞きたい!時間を萬里にちょうだい!」

ユカり「閉店後でもいい?」ということで、深夜ユカりのお店へ。

萬里「どうやった?!」

ユカり「見つけたよ!おじいちゃん。かどうかは分からんけど、10人分くらいの遺骨を見つけた。」

萬里「そっか、見つけたからすぐ誰の物かってのは分からんよね・・・。骨も一部とかカケラだったりやろうしね。体調は大丈夫やったん?」

ユカり「もうね、死ぬかと思うくらいずっと体調悪かった。でも、団体行動やし、私のことで予定を狂わすわけにはいかんし黙ってたけんやけどね。」

萬里「倒れたりせんかった?でも、たくさん人が死んでるところやろ?その影響も絶対あったはずよね?」

ユカり「それがね、今回はその影響がプラスになったとよ!これまでのツアーでは、一度の滞在期間で10人分の骨とか見つけることできんかったんだって。だから、今回のはすごいことなんだって!」

萬里「どういうこと?!」

ユカり「初めて行ったし、女だから、ずっと一緒に付いててくれた人がいたんよ。何も分からんし、その人に言われた事をきちんとやろうって心掛けて行動してたんだけど、動き回ってると頭痛がジワっと始まったり、強まったり、無くなったり、場所によって症状が変わるってのが続いてね、その人になんだか分からんけど・・・って話しながら歩いて、土掘り返しての繰り返しだったんやけどね。」

今、ユカりの話を聞きながら、萬里の頭の中にはそのイメージが広がっている。

萬里「うん、うん。」

ユカり「付き添いの人が、『ユカりさんって、勘がある方なんですか?』って突然聞いてきたから、よく分かんないんですけど、そう言われたことはあります。って答えたんよね。」

萬里「お!本当に突然、そんな話になるもんなんやね?!」

もうこの流れ、現実だけの流れではないってこと、読者の皆様はお気付きであろう。

ユカり「うん、そしたら付き添いの人が『闇雲に掘り返すのも体力的にも大変ですし、その頭痛が酷くなる場所を試しに掘ってみませんか?』って言ったんよ。」

萬里「その人も割と精神世界を信じる人なんかな?」

ユカり「私も半信半疑よ。なんでそんなこと言い出したのか分からんけど、確かにあちこち当てもなく掘り返すのも大変だから、頭痛が酷くなる場所を目印に掘り返したら、骨が出てきてねっ((((;゚Д゚)))))))」

萬里「マジで?!((((;゚Д゚)))))))」

ユカり「まぁ、一回くらいはまぐれでもあるやろうって思ってたんだけど、その後も頭痛を頼りに掘り返すとまた遺骨が出て、皆んなが私に注目しだしてね(・・;)それからは、私の指示中心で作業が進むようになって(・・;)」

萬里「やっぱ、高性能探知機や!!」

ユカり「でもね、いくつか遺骨が出始めたら、そのあとはただの頭痛では済まなくなったんよ( ;´Д`)」

萬里「どういうこと?」

ユカり「体のあちこちに激痛が走ったりするようになって、意味わからん( ;´Д`)ってなったと。
んで、もう頭割れる!って思うくらいの激痛が、耳の上あたりに出て、耐えられず頭抱え込んでうずくまってしまったんよ( ;´Д`)
皆んなは『休んでてください!』って言ってくれたんだけど、これはきっと何かある!って思ったんで、そこ掘ってください!!って言って掘ってもらったら、キレイにそのままの形ヘルメットをかぶったままの頭蓋骨が出た!んで、激痛走ったところと同じ部分に弾痕があってね、ヘルメット貫通してた・・・( ; ; )」

萬里「あぁ、それ辛いよね。亡くなった人達の最後の痛みを感じ取ってたって訳ね。わかる・・・。」

ユカり「うん。その時は取り憑かれたように遺骨探知機に徹してたけど、今思い返したら、すごく怖いことだったなって。たくさんの人を家族の元に返せたことは良かったと思うけど。こういう力、日常的になんか欲しくない、絶対普通に生活できん。」

萬里「ん〜、ユカりは元々感が強いけど、必要がある時にだけ敏感に反応してると思うから、その心配はしなくていいと思うよ。
今回は、より多くの遺骨を見つけることがユカりの役目だったってことなんだろうね。ユカりにしかできない事だったと思う。」

ユカり「萬里はずっとこんな感じなんやろ?」

萬里「そだね。萬里はどうも、お役目がある=それに耐えられる身体みたいだから、しょうがないってか相手の痛みや苦しみを知るために必要な事だからありがたいこと。ってな感じね(^_^;)
これがないと判断もできんしね。」

ユカり「私には想像もできんけど、それも萬里にしかできないことなんだよね。私もこういうことで、萬里に迷惑かけんようにせんといかんっ。」

萬里「いや、何事も練習で起こる出来事は萬里にとって必要なことだから迷惑とか考えんで!できる人間がやればいいことやし!必要な時は言って!!」

ユカり「そうね、ありがとう。」

私にはそういう能力ないですから!
私、全然わかりませんから!って、みんな言います。

いやいや、みんな持ってんですよ。使い所がないうちに、使い方忘れてるだけ。

五感を研ぎ澄ます必要がないほど、安心して暮らせる世の中ってことなんでしょうけどね。
人の言葉に耳を傾ける、人の心に寄り添う、人の痛みを知る、人の想いを汲み取る、人である以上忘れちゃいかんところは研ぎ澄まそう。

ストレスにならない程度にね(^人^)

それから、どれぐらい経った頃だろうか、ユカりはお店を休みがちになっていると小耳にはさんだ。

ミカちんもユカりの事をいつも心配していた、飲み会で出る機会の多いミカちんは解散の後、いつもユカりの顔を見にお店に立ち寄っていた。

お店のドアを開け顔を出し、当たり前のようにユカりだと思い元気に声をかけたら、カウンターの中に居たのはユカりのお姉さん。

姉「ユカりはちょっと体調悪くて休んでるから伝えとくね。」

ミカちんはこの状況を悲しんだ。

ユカりは市から許可が下りないと処方されない、カギ付きの扉に保管されている薬を飲んでいると言ってた。
多分市内で一番の重症患者ではなかろうかと思う。

これがほんとにほんとの最後、もう何年も会っていない。

もしかしたら硫黄島の一件が障ったのか?もっと何かしてあげられたんじゃないか?といろんな想いが巡る。

ユカりは2月3日節分の日が誕生日、この日になるといつもより強くユカりの事を思い出す。

自分で命を絶つことなく、病気だとしても生きて、私たちが居る事を忘れないで欲しいね。

ミカちんと毎年、毎日願っている。

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