Quintette Shizuokaの給料未払い問題と、チームの現状について

まず大前提として、給料未払いは絶対に許されないというか、絶対に起きてはいけないことです。

そして、選手生命を脅かすようなことをチームがしては絶対にいけません。
この業界は選手がいてくれるからこそ成り立っているし、自分たちは生活することができています。

給料未払いのチームで運営として活動していた以上、何か声明文を出す必要があるんじゃないかと感じnoteを書こうと決めたのですが、正直契約の話なので、代表と選手間で解決するしかないなと感じてしまいました。

実際代表と話が出来ないからこうなっているのであって、ツイートした選手が悪いとは思いませんし、こうした実態が明らかとなったのは選手に取ってはきっとプラスだろうと感じているのですが、長くeスポーツ業界で、少しでも興味を持ってもらおうと記事を書き続けてきた身としては、eスポーツの悪いニュースしか注目されない現状がとても嫌でした。

代表を擁護するつもりは全くないし、事実私も被害者なので、選手もこのニュースをきっかけに手を差し伸べてくれる人やチームと出会えれば良いなと思っているのですが、今自分に出来ることは、少しでもこの失敗を活かすために改善案を書くこと、何か業界に取ってプラスのことを書くことだと感じました。

僕は今年22歳になりますが、Quintette Shizuokaの代表は今年23歳です。

選手を擁護する傍ら今回の件を事実以上に悪く見えてしまうように少し感じてしまうので、もし彼がまた頑張りたいと思うのであれば、応援したいし、力になりたいと思っています。

改めて言いますが擁護するつもりも選手のツイートがどうのこうのだと言うつもりも全くありません。

自分の業務形態上全てを把握することは出来ていなくて、過去の話で記憶が曖昧になっている部分もあるのですが、それでも今後の業界のために、少しでも何か良くできる部分があるならと考え、出来る限り今回内部で起こっていたことを残しておきたいと思います。

細かいことは話してもしょうがないことが多いので、大きく全体的な流れを話します。

2022年の8月から2023年の3月末まで、Quintette Shizuokaのゼネラルマネージャーとして働きました。

主な業務内容は、選手たちとコミュニケーションを取りながら代表とのコミュニケーションを円滑に進めること。

Quintette Shizuokaの運営費となるような仕事のため、営業のための資料作り。
自分たちでブランドを作っていたので、そのSNS運営やどういった商品を作るのか、どう販売していくのかという戦略を自分と協力してくださる企業の方で決めるということを主に取り組んでいました。

フォロワーは当時5,000人ほどだったかなと記憶しているのですが、Quintette Shizuokaの運営としては自分と代表だけ。

他にも外部の人が手伝ってくれていると話は聞いていましたが、具体的には全く分からず、業務委託かつリモート稼働である自分と代表だけが運営として動いているという形でした。

今回の件は間違いなくこの企業体制に問題があり、企業組織としてほぼ成り立っていないような状況が何か月も続いたのが原因だったと感じています。

経理部や法務部、代表自らが動かなくて済むような営業部や企画部を設けるべきだとは感じていたのですが、eスポーツ業界という安定も信頼もない業界で、かつ静岡の袋井市という地方に住み込みで働いてくれる人なんかいるのか?という点がネックとなり、上手く採用に踏み切れなかったと代表は話していました。(かなり前の話です。)

実際、Quintette Shizuokaとしてnoteを運営していた時、リクルート記事を投稿したのですが、信用できて、静岡でずっと働いてくれそうな人は居ませんでした。
応募自体も5件なかったぐらいだったと思います。

もし読んでくださっている方が今社会人で、eスポーツ業界を盛り上げるために地方のTier2レベルのプロチームに正社員として働けるか?と言われれば、中々難しい部分があるのではないでしょうか。

静岡で動ける人間が代表ただ一人になってしまい、課題であった選手との円滑な連絡がどうしても行えないような状況が何か月も続いて、その手助けを自分が出来ればと思っていたのですが、最終判断は代表にあるので、新しくコーチの方や選手の方を入れる時に円滑に進まないという自体が続いていました。

給料未払いもこの時から多々あったと記憶しています。
振込作業も代表が一人で行っていたので、限界があったのだと思います。

そんな現状で、Quintette ShizuokaはR6s部門を作ることになります。

選手とのやり取りをまとめて伝えるのは僕の仕事だったので、こんな現状で新しい部門を作ったら更に大変な状態になってしまうんじゃないかと思っていたのですが、eスポーツチームは利益を上げるためには部門を設け、運営し続けるしかありません。

例えば新しい部門を作ることで、実績を元にスポンサー獲得や継続の営業に繋げたり、この部門を持ってこんな企画をしたいとスポンサーの方に伝えることはチームとして大切な仕事です。

それがFUKUROI ESPORTS CUPでした。

当時のQuintette ShizuokaにはApex部門しかなく、オフライン大会をどう作るか何度も話を重ねたのですが、ファンの方を袋井に呼び込んで、想定する人数を集めるような企画を作ることは難しいという結果に至りました。

例えばですが、Apex Legendsは60人で試合をするので、60人が一度に集まってApexをプレイするような環境を作ることはほぼ不可能でした。

他のチームの方何人かを呼んでということも考えたのですが、わざわざ袋井市に来てもらって、何時間も楽しんでもらえるようなコンテンツを作ることはかなり難しかったです。

しかしこのオフライン大会はチームでもかなり大きな利益の一部になっていたので、どうにかオフライン大会はしたい。でもApexでは難しい。

ならば、ということで作られたのがR6s部門です。

過去にR6sで大会を行った経験があるということ、R6sは日本でX-MOMENTという巨大なリーグがあるので、もし本リーグに参加出来ることが出来れば今の現状を打開出来るのではということで部門設立に至ったということです。

それでもやはり部門の維持は難しく、給料未払いの問題も多発しました。

チームを継続させるためにはR6s部門を続けさせなければいけない。
そうすると、Apex部門にさける時間も費用も無くなっていく。

なんとかFUKUROI ESPORTS CUPの開催は出来たのですが、チームの再建には至らず、現在に至ります。

現在のeスポーツ業界は大きなチームでも赤字になってしまうような状況なので、Quintette Shizuokaのような小さなチームはもっと大変だと思います。

業界にインパクトを与えたり、スポンサーを新たに獲得するためにはそれなりの選手たちを獲得しなければならないので、常にリスクを払い続けながらチームは運営していかなければなりません。

少しでもチームのお金になればと自分も出来る範囲で営業資料を作ったり、スポンサー営業用のリストを作成したり、ブランドのSNSや商品開発を行いましたが、ほんの足しにしかならないレベルでした。

様々な所でチームを継続させるために投資して、結果的に選手に被害が及んでしまったのが、今回の一件だと自分は考えています。

運営の立場として傾いた発言があったかもしれませんが、今回の被害者は選手たちです。

Apex部門の選手たちは全員競技に対する姿勢が真剣で、どうにかチームのためにと新しい体制を試したり、ずっと戦ってきたチームメイトを切ってまで勝とうと競技に向き合っていました。

R6sの選手たちはFUKUROI ESPORTS CUPのためにスクリムを行ったあと、会場設営や今後のチームのために新しい大会の企画を代表と考えたりと、ずっとQuintette Shizuokaを盛り上げようと動いてくれました。

選手名は出して良いのか分からないので伏せますが、いち早く袋井市に来て、代表の仕事をサポートするために営業をしてくれたメンバーもいますし、何よりもチームのために静岡で生活することを決めてくれました。

そこまでしてくれた選手全員を裏切る形になってしまったし、選手活動を引退しなければならない状態まで追い込んだのもチームの責任だと感じています。

悔しいし、申し訳ないし、もし出来るのであれば選手活動をこれからも続けてほしいと切に願っています。

強い選手がいないとシーンは盛り上がらないし、強い選手は競技に専念出来る環境がないと生まれてこないし、環境があったとしても長く競技活動を継続できるお金が無いと、強い選手に成長することが出来ません。

選手もチームも無ければ業界の発展は無いと思っています。

元を辿ればQuintette Shizuokaもアマチュアチームで、元々は代表も選手として活動していた身です。

それがいつしか多くの部門が出来て、PUBG部門がG2に昇格して、法人になり、プロチームになったのがこのチームです。

昔はプロチームを目指しているアマチュアチームも多くあった印象ですが、今は少しプロチームの現状を鑑みて難しそうだと悟られているのか、そんなチームを見受けられなくなった印象があります。

所詮アマチュアチーム上がりだからこそ、企業としての体制も上手く整えることが出来ず、今回に至ったのかもしれませんが、プロチームが以前よりも発足しなくなっている現状も凄く悲しいことだなと感じています。

なので選手は二度とこんなことに巻き込まれてほしくないのですが、Quintette ShizuokaのようなTier2プロチームも無くなってほしくないというのが僕の考えです。

自分が所属していなかった頃のチームの内情は分からないので、自分がどうこう話すことは出来ないのですが、自分が所属していた時に感じていたのはこんなことでした。

支払われるはずだった給料がなく、貯金がどんどん擦り減っていって、今期大学に通う定期代を払えなそうで凄く辛かったのですが、それ以上にeスポーツ業界をどうすれば良く出来るのか悩んで辛いです。

更にそれ以上に、選手のことを思うと辛いです。

少しでもこの記事を読んで現状を理解してくれる人がいてくれると嬉しいなと思います。そして自分は、この業界を良くするために出来ることをしたいと心の底から思っています。

関係者の方がいればぜひどうすればもっと業界を良く出来るのか一緒にお話させていただきたいです。

色んな意見も聞かせていただきたいです。

拙い文章でしたが、読んでいただいて本当にありがとうございました。

ちょっとずつ頂いたサポートを貯めて、色んな場所に行って色んなeスポーツの人とお会いしたいと思っています。 良ければ協力して頂けると幸いです。