伊達洋駆

株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役。神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了…

伊達洋駆

株式会社ビジネスリサーチラボ 代表取締役。神戸大学大学院経営学研究科 博士前期課程修了。修士(経営学)。人事データ分析や組織サーベイのサービスを提供している。著書に『現場でよくある課題への処方箋 人と組織の行動科学』『越境学習入門 組織を強くする「冒険人材」の育て方』など。

最近の記事

日本語版仕事の先延ばし尺度の作成

『パーソナリティ研究』という学術誌に、共著論文「日本語版仕事の先延ばし尺度の作成」が掲載されました。PAWS(Procrastination at Work Scale)の日本語版を開発しました。 仕事の先延ばしは誰もが経験したことのある現象ですが、従業員の行動や態度に影響を与えます。一方で、日本の職場環境に適した測定ツールがありませんでした。 そこで私たちは、海外で用いられているPAWS尺度を日本語に翻訳しました。日本の労働者を対象に調査を行い、日本語版PAWSが信頼性

    • 代表値とは何か:データを適切に概観するために

      ビジネスリサーチラボ フェローの黒住嶺が執筆した新しいコラム「代表値とは何か:データを適切に概観するために」についてお知らせします。 私たちは日々膨大なデータに囲まれています。データの海から意味ある情報を引き出すのは難しいものです。そこで重要な役割を果たすのが「代表値」です。 今回のコラムでは、私たちがよく耳にする「平均」「中央値」「最頻値」という3つの代表値に焦点を当てています。これらの指標は一見シンプルに見えます。 しかし、適切に使用しないと、データの真の姿を見誤る

      • 身近な"でたらめ話"の影響:ブルシット研究が明かす実態

        新しいコラムを執筆しました。「身近な"でたらめ話"の影響:ブルシット研究が明かす実態」と題したコラムです。ブルシットという現象について解説しています。 ブルシットとは、事実や真実を軽視した、誤解を招くようなコミュニケーションを指します。情報の真偽を見極めることが難しい現代において、ブルシットは注目を集めています。 本コラムでは、ブルシットが個人や組織に与える影響を考察しています。例えば、組織内でのブルシットが従業員の職務満足に与える影響について研究結果を紹介しています。

        • 印象管理は諸刃の剣:人間関係を深める力と壊す危険

          「印象管理」に関するコラムを執筆しました。「印象管理は諸刃の剣:人間関係を深める力と壊す危険」というタイトルのコラムで、当社サイトに掲載しています。 私たちは、他者との関係性を築く中で、自分をどう見せるかを意識しています。印象管理という行為は、人間関係を深める力を持つ一方で、関係を損なう危険性も秘めています。 コラムの中では、印象管理が失敗する際のメカニズムや、職場における影響、さらには友人関係における印象管理の役割まで、幅広い視点から印象管理について考察しています。

        日本語版仕事の先延ばし尺度の作成

          『Learning Design』9-10月号に取材記事が出ました

          雑誌『Learning Design』の取材を受け、9-10月号に掲載されました。副業をテーマにした特集号であり、私は個人と組織の視点から副業のあり方についてお話しました。 取材では、副業が広がりを見せる一方で、実際に副業を行う正社員の割合は少ない現状を指摘しました。その背景には、副業に伴う手続きの煩雑さや時間的制約があります。 また、優秀な人材ほど本業で充実感を得ており、副業への関心が薄いという逆説的な状況にも言及しました。この辺りは副業に関する研究知見をもとにしたお話

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          エンゲージメントサーベイの結果の用い方:改善行動のジレンマを科学する

          この度、当社では「エンゲージメントサーベイの結果の用い方:改善行動のジレンマを科学する」と題したオンラインセミナーを開催する運びとなりました。 従業員エンゲージメントの重要性が高まる中、多くの企業がその向上に苦心しています。当社チーフフェローの藤井と、コンサルティングフェローの樋口が講師を務めます。 エンゲージメントサーベイの効果的な実施方法から、マネージャー主導の改善アクション、さらには部門全体を巻き込む実践的なノウハウまで、幅広くお伝えします。 「社会的ジレンマ」と

          エンゲージメントサーベイの結果の用い方:改善行動のジレンマを科学する

          組織の実態を捉えるデータ整理のエッセンス:集計・可視化の技法

          セミナーのお知らせです。来る10月31日、「組織の実態を捉えるデータ整理のエッセンス:集計・可視化の技法」と題したオンラインセミナーを開催します。 近年、人事領域においてデータに基づく意思決定の重要性が高まっています。しかし、少なくない方々がデータ分析に苦手意識を持っているのも事実です。 そこで今回、当社で普段からデータ分析を行うエキスパートが、データ活用の基礎から実践的なテクニックまでを、わかりやすく解説します。 講師を務めるのは、当社チーフフェローの能渡真澄と、フェ

          組織の実態を捉えるデータ整理のエッセンス:集計・可視化の技法

          スライド完成「リーダーシップの新潮流:謙虚さが拓く可能性」

          「リーダーシップの新潮流:謙虚さが拓く可能性」と題するセミナーを行う予定です。セミナーの準備を進め、講演用のスライドが完成しました。 リーダーシップというと、強いカリスマ性や断固とした決断力を思い浮かべる人も多いかもしれません。しかし、現代の複雑な組織環境では、異なるアプローチが求められています。 そこで注目されているのが「謙虚なリーダーシップ」です。謙虚なリーダーシップの本質は、リーダー自身が自分の限界を認識し、他者の意見や能力を尊重することにあります。 セミナーでは

          スライド完成「リーダーシップの新潮流:謙虚さが拓く可能性」

          組織サーベイの質問項目を洗練する:良い項目と悪い項目の見分け方(セミナーレポート)

          当社が7月に開催したセミナー「組織サーベイの質問項目を洗練する:良い項目と悪い項目の見分け方」のレポートをコーポレートサイトに公開しました。 このセミナーは、当社チーフフェローの能渡真澄が講師を務めました。組織サーベイの質を高めるための実践的な知見を幅広く提供しています。 組織サーベイは、従業員の声を聴き、組織の課題を可視化する強力な手段となり得ます。しかし、その効果は質問項目の良し悪しに左右されます。 レポートでは、良質な質問項目の特徴や、避けるべき項目のパターンを具

          組織サーベイの質問項目を洗練する:良い項目と悪い項目の見分け方(セミナーレポート)

          筑波大学のTGSW2024に登壇します

          「博士人材が拓く新しい時代」というテーマで開催される筑波大学のTGSW2024に登壇することになりました。10月2日の13時からの開催です。 日本は人口当たりの博士号取得者数が諸外国と比べて少ないことが指摘されています。この状況を打開するために、私たちはどうすれば良いのでしょうか。 博士課程修了後のキャリアパスについては、多くの課題が残されています。今回のパネルディスカッションでは、この点について掘り下げたいと考えています。 私もパネリストの一人として、特に日本の雇用シ

          筑波大学のTGSW2024に登壇します

          一標本のt検定:人事データ分析の基礎と応用

          「一標本のt検定:人事データ分析の基礎と応用」というコラムを執筆しました。人事データ分析において役立つ統計手法の一つである、一標本のt検定について解説しています。 一標本のt検定の基本的な考え方から始まり、実際の計算方法、そして結果の解釈までを扱っています。統計に馴染みのない方にも理解しやすいよう、段階的に説明を進めています。 統計的有意性だけでなく、効果量についても触れています。数値の違いが統計的に意味があるかどうかだけでなく、実際、どの程度の大きさなのかを考えることも

          一標本のt検定:人事データ分析の基礎と応用

          新人・若手社員のための質問方法:仕事の効率を上げる聞き方とは(セミナーレポート)

          当社フェローの黒住嶺が講師を務めたセミナー「新人・若手社員のための質問方法:仕事の効率を上げる聞き方とは」のレポートが公開されました。8月開催のセミナーです。 「わからないことは質問してください」という言葉をよく耳にしますが、実際に質問をすることは難しいものです。特に新人や若手にとっては難易度が高いかもしれません。 この課題に対して、幅広い学術研究の知見を基に、解決策を提示しています。個人的に、特に興味深く感じたのは、質問することに対する「コスト」と「リスク」の認識です。

          新人・若手社員のための質問方法:仕事の効率を上げる聞き方とは(セミナーレポート)

          AI外部諮問委員会の委員に就任しました

          ディップ株式会社のAI外部諮問委員会の委員に就任しました。本委員会は、人材領域におけるAI倫理の議論を行い、倫理的なAI開発・運用、倫理規範の社会浸透を推進するものです。 この数年、AIと働き方をめぐる調査や研究に関わってきました。そこで得た知見を活かし、AI技術と人材領域の接点において、倫理的な観点から貢献できることを光栄に思います。 近年、AIの発展に伴い、その適切な利用や倫理的な課題が注目されています。特に人材領域では、個人情報の取り扱いや公平性の確保など、慎重な対

          AI外部諮問委員会の委員に就任しました

          過去は大きく、未来は小さく:歴史の終わり幻想

          新コラム「過去は大きく、未来は小さく:歴史の終わり幻想」を発表しました。私たちは、過去の自分の変化を大きく感じる一方で、未来の変化を過小評価する傾向があります。 これを「歴史の終わり幻想」と呼びます。大規模な調査データに基づく実証研究や特殊なケースを対象とした研究、文化間での比較研究など、様々な角度から探りました。 例えば、エピソード記憶に課題がある人でも「歴史の終わり幻想」が生じることや、この幻想が仕事へのモチベーションにも影響を与えることなどが明らかになっています。

          過去は大きく、未来は小さく:歴史の終わり幻想

          インポスター現象の実態と克服法:成功の裏側にある自己懐疑を緩和する

          「インポスター現象の実態と克服法:成功の裏側にある自己懐疑を緩和する」というコラムを執筆しました。コラムでは、インポスター現象について詳しく説明しました。 インポスター現象とは、高い評価を受けながらも「自分には本当は能力がない」と感じてしまうことです。重要なことに、この現象は単なる自信のなさとは異なっています。 インポスター現象にも「真のインポスター」と「戦略的インポスター」という異なるタイプが存在します。後者は、意図的にインポスター的な振る舞いを行うというものです。

          インポスター現象の実態と克服法:成功の裏側にある自己懐疑を緩和する

          好印象を得るには:印象管理の効力と実践

          「好印象を得るには:印象管理の効力と実践」というテーマでコラムを執筆しました。印象管理は、ビジネスの文脈において非常に重要なスキルでしょう。 しかし、ただ見栄を張ったり表面的な取り繕いをしたりするだけでは、あまり有効ではありません。コラムでは、印象管理の方法について、研究成果を交えながら解説しています。 上司の評価にどう影響するのか、同僚からの支援をどう引き出すのか、顧客満足度をどう高めるのかなど、具体的な場面に即して、印象管理を考察しました。 印象管理は、決して表面的

          好印象を得るには:印象管理の効力と実践