途上国ベンチャーで働いてみた:新店舗引っ越し大騒動(通算30日目)
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途上国ベンチャーで働いてみた:新店舗引っ越し大騒動(通算30日目)

2019年7月末。唐突にオフィス引っ越しと新店舗オープンが決まった。

唐突、というのは本当に唐突で、前日11時pmを回った頃、新店舗のレイアウト案を床に書きながらあーでもないこーでもないと議論していた居残り中の私と同僚の新卒Kくんを前にCEOが一言、「よし、明日引っ越すぞ!トラック手配しろ!」と叫んだことで決まった。
新店舗の場所は決めてあったが、居ぬきのだだっぴろい1フロアでしかない状態でレイアウトも定まっておらず、ましてや荷造りなどしていない。

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寝に帰るだけとなっていたシェアハウスにもたくさんの備品や新しいオフィスで使う家財などが保管されており、備品小物類+オフィス書類をすべて担当せよと指令を受けた私は、深夜1時を回って帰宅したリビングでKくんとふたり茫然と立ち尽くしたのを覚えている。

翌朝から、CEOの怒号が建物中に響いた。引っ越し作業が行われることを知らされていないスタッフたちは荷物の取りまとめもままならず、何を持っていって何を捨てていくべきなのかの選別をする間もなく右往左往していた。ロッカーや作り付けの机など、手作りの家財が多く、すべて新店舗兼オフィスに持っていくということで、ほぼすべての男手が大型家具の運びだしや解体作業に充てられた。
ローカルスタッフに引越用の段ボールをどこからでもいいから集めてきてほしいと頼み、私はオフィス内の重要書類や小物の梱包とシェアハウスにある荷物の運びだしをすることにした。

突然戦場と化したオフィスから、こっそり逃げ出す者や怒声を上げているCEOの目を盗んでさぼろうとするスタッフがそこかしこにいた。
私自身いつ怒鳴られるのだろうとひやひやしながら、そういったスタッフのおしりをたたいてとにかく荷物をすべて日が暮れるまでに運び出さなければならない。
如何せん、バングラの男性陣は(こういってはなんだが)やや頼りない。。私でも一度にこれくらいの量は運べるだろう、と思える量の半分くらいしか持ってくれないことに唖然としながら、女の私ががっつり力仕事をしていれば動かざるを得なくなって働いてくれるだろうと、とにかく汗だくで走り回った。

バングラの引っ越しは、ほとんど夜逃げのような様相を呈する。

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トラックの荷台に積めるだけの荷物を効率よく積み、予定のルートと違うだのお昼代をもらっていないだのとごねるドライバーをなだめすかし、最低限の往復数で終わらせなければならない。

最後の難関は、シェアハウスから最後の荷物を運び出すときに起きた。

シェアハウス入口を守るセキュリティバイが、
「過去の電気代の支払証明を見せなければ、ここから出ていくことは許さん」
と言って、頑なに門を開けてくれなくなってしまったのである。
払わずに逃げられては困る、ということだったらしいが、支払いはされていたしましてやシェアハウス自体からの引っ越しはまだ先になる予定だった。
支払証明を出せと言われても、すべての書類はまさに引っ越し中で段ボールの中。到底探し出して提示することなんてできない。
時はすでに8時pmをまわっている。
CEOに相談の電話をしたが、
「大丈夫です、大使館の人間だとでも言ってうまく切り抜けてください」と言われ電話を切られた。
その間にも、トラックのドライバーが「俺は飯も食ってない、もう帰るぞ」と門の外から叫んでくる。

私は、人生で初めて声を荒げて怒鳴ることになった。
「いいからそこを開けなさい!!!私を誰だと思ってるの・・・!!!」

....結局、怒鳴りが功を奏した、わけではなく、ローカルスタッフとハウスオーナーがどうにか話をつけてくれて事なきを得た。
大型トラックの助手席にこれまた人生で初めて乗り込み、目的地についた頃には疲労困憊、電球も無く砂埃まみれのフロアの片隅で冷めたピザを一口食べた。
セキュリティバイとの確執は以前にも書いたが、この時ばかりは本当に頭にきた出来事である。

(続)

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途上国ベンチャーではたらく34歳の山あり谷ありな日々。