19℃
君のスカートが揺れる。真っ黒なタイツの、踵のあたり、肌の色が少し見える。そこがたまらなくえっちだと思った。
冬の昼。眩しく控えめに降りかかる金の糸に結ばれた君の睫毛のその向こう。半透明な黒色の中のひまわりは、僕の世界を照らすものだと思った。
独りぼっちの歩き方。君の足首が靴に吸い込まれている狭間の美しさは、僕にしか見えないべきだと思った。黄金比をもうそれにしたいくらい、綺麗の中に少女らしさがあって、僕に可愛いものの存在を嫌でも認めさせる。
俯きがちに歩く君の体が少し斜めに傾いて、君がよろけた自分をふわりと立て直す。僕の瞳は君の横顔に穴を開けてしまうほどだった。さらさらの肩まで伸びた髪の愛おしさは、僕の心の内側まで押し寄せる。そのまま僕の思いを盗んでなびいている。僕の心の枷は縛るものを失って暴れ回る。体の中に言葉が溢れる。
愛してる。
ねぇ君が見る、君が僕以外のことを、きっと君が恋愛以外のことを考えて見る世界は、どんなものなんですか。
僕がそれでいいと思ってるちょっとした気の使えない会話や少しのおふざけは、君にはどう映っているのですか。馬鹿馬鹿しくてならなかったりするのですか。
きっと君が思うように世界やもっと身近な僕たちが動いたら、きっと素敵な世界が生まれるのだろう。
口下手な君だから、今はまだまだ無理かも知れないけど。
それでも、君はやっぱり素晴らしいものを持ってるよ。
愛しています。
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