#読書後記 「NETFLIXの最強人事戦略」

「読んでよかった」

そう思った本でした。チームに携わる全ての人におすすめな本。
自身の立ち位置で見方や捉え方が変わると思います。

NETFLIXの急成長の裏にあった人事戦略が書かれています。
ベースは、人の能力を最大限に活かすチーム作り。
これからチームを作るのであれば、ぜひ参考にしたい内容です。

"どうすればネットフリックスの成功を支えてきた、あの俊敏なハイパフォーマンス文化を形成できるのか"

パティ・マッコード. NETFLIXの最強人事戦略~自由と責任の文化を築く~ (Japanese Edition) (Kindle の位置No.99-100). Kindle 版. 

”ビジネスリーダーの役割は、すばらしい仕事を
期限内にやり遂げる、優れたチームをつくることである”

この言葉に全てが詰まっている。

一緒に働きたいのは、
困難な問題にぶつかることを楽しみにしていて
同僚と共に、嬉々として会社の課題に取り組み
毎日仕事に行くことが楽しみにしている人材。
そんな人材にとっての最大のインセンティブは
優秀な同僚と日々難関な課題に取り組める環境である。
メンバー全員が最終目標を理解し、取り組んでいる時こそ
チームとして最高の成果を挙げられる時だ。
「優れたチームづくりに本気でとりくむことが、
 経営陣の一番重要な仕事」
チームが目標を達成するために、経営陣が行うこと。
それは、優れたチームを作るために
素晴らしい仕事ができるハイパフォーマーだけを採用すること。
組織が大きくなるにつれて、しがらみやルールも増えてくる。
結果、組織運営に時間が割かれることによって
個人の能力が発揮できていない状態が起こり得る。
その場合は、勇気を出して組織構造を見直すことが必要だ。
全スタッフが全事業内容を理解し、企業の課題を知ることが
どんな研修や能力開発よりも大切な学習であり、
パフォーマンス向上のための起爆剤となりうる。
「部下に伝えても伝わらない」というのは間違い。
それは、知るべき情報が伝えられていないだけである。
事業や自身の業績について、良いことも悪いことも
正直に包み隠さず伝えることが重要である。
適切なタイミングで正直に伝えることにより、
問題解決へのスピードは上がり、自己変革も可能にする。
フィードバックは上司からの一方通行ではなく、
同僚含め全方向から送り合える風土を形成しよう。
具体的で建設的な善意あるフィードバックを心がける。
間違いを素直に認めることで、より良いインプットが可能に
なるだけでなく、部下からの素直な意見が出やすくなる。
議論する場合は、相手の立場を理解して話すことが重要である。
そのためには他部署であっても事業内容を理解し
憶測ではなく事実に基づいた議論を展開しよう。
データは意見を持たない。
結論を導き出すためにデータを利用するのは良いことである。
しかし、データだけを事実として進めることはやめよう。
事業拡大、市場の変化に対応できるチームでなければいけない。
将来イメージから逆算したチームづくりを今から実行しよう。
現メンバーではなく、新しい人材の確保が必要かもしれない。
将来目指すチームで能力を発揮できないであろうメンバーは、
より能力が活かせる環境へ異動してもらうべきである。
それは社内にあるかもしれないし、社外にその機会があるかもしれない。
企業は個人の能力開発まで責任を追っているわけではない。
自分の能力開発は個人が責任を持つことが理想である。
どれだけ優秀なスタッフでも、社内に能力を活かすポストがない
のであれば、解雇も厭わない。
任期を終えたスタッフがいることも理解すべきである。
いかにスタッフを抱え込むか、を考えるのはやめにしよう。
自身の能力開発を促すために他社の面接を受けてもらうなど
能力を活かす機会を社内外問わず探すことを提案しよう。
結果、より自己成長を考えたアウトプットができるようになり
ハイパフォーマーが生まれやすい環境になっていくはずだ。
常に将来必要になるチームをイメージして取り組もう。
今いるスタッフが将来も活躍するとは限らないし、
その場しのぎの採用では、往々にしてうまくいかない。
”そこで働いていたことが誇りになるような会社にしよう”
これまでの多大な功績は、きっと素晴らしい経歴として大きな武器になる。
積極的に社外に能力発揮の機会を見つけられる手助けをしよう。
チームづくりへの指標は、定着率ではない。
優れた人材が配置できているかどうか、であり
頭数で考えるチームづくりはやめよう。
優秀な同僚と一緒に素晴らしい仕事ができることに勝る従業員特典はない。
採用の際には、今ある企業文化へのフィット感を重要視しすぎず
チームや文化がその人に合わせて変化していく場合もあることを理解する。
採用責任者の最も重要な仕事は、ハイパフォーマーを採用することであり、そのために率先して人材パイプラインを開発すべきである。
タレントプールができていることがこれから重要になっていく。
チームに属するリクルーターは、事業内容を理解して
各部署の採用担当者と連携を取り、採用力強化のために動く。
選考を受けてくれた人全員が、ファンになるような面接と対応をする。
人事評価制度=その人の市場価値ではない。
社内の人事評価制度に合わせて報酬制度を構築することで
競合他社よりも低い水準の給与テーブルになる可能性がある。
正直に話し合い、市場ベースの報酬を設定するべきである。
適切なタイミングで評価を伝え、目標を定めるために
年に一度の人事考課のみに機会を限定するのはやめよう。
個別面談の頻度を増やすなど、自己変革を促しやすい設計にしよう。
新しく採用した人材が適任ではないと判明した場合、
それは不適当な人材を採用してしまった採用プロセスに原因がある。
社内での活躍度合いと自己認識をすり合わせ
自己成長に繋がっていないと双方認識したのであれば
より活躍できる機会を求めて送り出すことも必要である。
このすり合わせが、円満退職に繋がる。
必ずしも、仕事やポストを用意し続けることが
その人の幸せになるわけではない。
”人事責任者担当者をビジネスパートナーにする”
人事担当者に事業の仕組みをしっかり理解させ、
より優秀な人材を採用するための仕組みを構築していこう。

以上が、私が大事にしたいポイントです。

なぜ、あれほどの急成長のなかで組織が強くなっていったのか
読み進めるうちに、チームの濃度が上がっていくのがわかると思います。

優秀な人たちと切磋琢磨し、難問に取り組むことが
何にも代えがたい貴重なことで、
今主流である、金銭的なインセンティブは本質的ではないのだ、と
すごく腹落ちしました。
また、スタッフの自己成長をどんな形であれ応援する、
社外でのチャレンジも応援するその姿勢に大きな愛を感じました。
会社にしがみついて終身雇用、なんて時代はもう終わりです。
チームもフェーズに合わせて形は変わっていきます。
合わせて、活躍できるスタッフも変わっていきます。

チームを作る立場から見ると
・スタッフの能力を最大限に引き出す配置ができているのか
・事業内容や課題、目標がどれくらい伝わっているのか
スタッフの立場から見ると
・今いる場所で最大限のパフォーマンスを出せているのか
・企業が抱える課題解決に向かって進めているのか

を、今一度考えさせてくれる、そんな本です。
採用だけに留まらず、強い組織を作るためのノウハウが詰まっています。

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