見出し画像

『なぜ、それでも会社は変われないのか』を読んだ小学校教員が考えたこと

今回の読書記録は柴田昌治著の『なぜ、それでも会社は変われないのか 危機を突破する最強の「経営チーム」』という本。
これは最近スタートしたプログラムの課題図書でもあり、これから学校の組織開発を進めていこうとする私にとって重要な本になりそうなので、こうして記事としてまとめておこうと思いました。

本書の目次は以下の通り。

はじめに「令和の改革」のスイッチを入れる
第1章「答えが見つからない時代」の経営ーー令和こそは「脱皮」の時代へ
第I部問題解決の突破口挑戦文化へのパラダイム転換のための打開策
第2章「役員の壁」を打破するーー挑戦型の経営チームをめざして
第3章経営増を「真のチーム」にするーー日本発!経営チームビルディングの実践方法
第II部問題の根本的解決法「挑戦文化」へ舵を切る
第4章なぜ企業価値は高まらないのかーー経営の足を引っ張る調整文化
第5章「どうやるか」思考から脱するーー挑戦文化へ移行する5つの処方箋
第6章「組織の常識」から自由になるーー役員層が変われば、現場も変わる
おわりに

会社ではなく、学校の中にいる人間(しかも管理職や教務といった、いわゆる経営層ではない私)が特に重要だと感じたことを言葉にしていきたいと思います。

1.調整文化から挑戦文化へ

日本の組織で働く上で必要とされる「空気を読む力」。常識ある組織人であればあるほど、個人の判断よりも組織の意向に従う人が多いはずです。
この日本的な空気感の正体は、日本社会が伝統的に引き継いできた「調整文化」が生み出す作用そのもの。
しかしそれは、組織を安定的に運営していくために有効であったが、「予定調和」、「前例踏襲」といった言葉で表されるように「思考停止」の文化につながっているようです。

そこで必要とされているのが「挑戦文化」と呼ばれるもの。変化の激しいVUCAの時代と言われる中でも、さまざまな挑戦を可能にする、思考停止との逆の意味での「考える力」のようなものです。
本の中では、この「考える力」が失われていった直接的な原因の一つとして、学校教育が挙げられており、教員である私にとっては耳の痛い話となっていました。

では、この「調整文化」をどのように「挑戦文化」へと変えていけばいいのか。
本書では、「挑戦文化」に舵を切るためにまず必要なのは「役員のチーム化」と述べられています。
私はすぐに「役員(学校でいうと教務がそれに当てはまるはず)になるまで待てっていうこと?」と思ってしまいましたが、平の教員である私たちができることもあるはずという思いで、そのヒントを読み込んでいきます。

2.プロセスデザイン

前述したようにVUCAの時代においては、正解を一つに固定してしまうのではなく、仮説を立て、試してみながら正解に近づいていくやり方が求められます。
「正解」ではなく、「失敗」を前提とし、”やりながら考え、柔軟に修正する”という姿勢を持った「プロセスデザイン」と呼ばれる手法が紹介されています。(詳しくは著者である柴田さんが代表を務めるスコラ・コンサルタントのHPで解説されていました。)

重要だと思ったのは手法自体もそうなんですが、HPの下の方にある「プロセスデザイナーの役割」について。自分でもできそうな役割がたくさんあることに気づかされます。

3.対話・意思決定の文化

そして、「挑戦文化」への道のりの土台となるのが、この対話や意思決定の文化だと感じています。チームづくりの糸口は、お互いの「心理的な安心感」を確保することです。信頼関係がなくても、仕事の多くは表面上進行していきますが、本当の意味で信頼関係があるかどうかで、結果に大きな差が生まれるとされています。

予定調和ではない話し合いにするためには「何を言っても大丈夫」と思える安心感が必要です。以前は飲み会や職員旅行といった仕事から離れた場所で自然発生していた会話などが心理的安全性を高めたり、チームワークを高めたりしていた側面もあったかと思います。個人的にもコロナ禍での職場の異動を経験し、思っていた以上に職場に馴染むのに時間がかかった経験があります。

また、意思決定に焦点を当てると、「日本の経営は意思決定スピードが遅い」と言われているようです。意思決定責任者が明確でなく、なんとなく「みんなで決めた」という事実を重視しているような長い会議。会社でも学校でも経験があるのではないでしょうか。

本の中では、衆知を集める努力は時間の許す限り最大限にするとしても、決める時は「担当責任者が決める」というコンパクトなルールが必要と書かれています。
そしてその後に続けて、衆知を集める時間もない時は、担当者の即断即決もありうるということ、そして一度決めたらみんなで協力して実行するのが原則であることも書かれています。

改革を進めていくには、対話によって個人の安心感といった挑戦の土壌を耕し、組織の意思決定のスピードを上げていくことが必要だと感じました。そう考えると、学校現場は会社に比べて(規模や役職といった面から)一人ひとりの意思決定が反映されやすい組織と言えるかもしれません。

4.組織の「傍観者」にならないために

ここまで、「プロセスデザイン」と「対話・意思決定」について取り上げました。どちらも最初からうまく取り入れることができるかと言われたら、正直自信はありません。
それでも、組織(学校)が良くなるのを指を咥えてまっておくよりは、当たって砕ける経験をした方が自分自身の成長のためにもいいと思います。

「傍観者」として自分には関係のないことと考えてしまったり、外から石を投げてしまったりするのではなく、自分にできることからやっていきたいと思っています。学校という狭い組織だからこそ、今の自分にもできることは多いのではないでしょうか。まずは、同じような問題意識を持っている職員を巻き込むところから。仲間を増やし、レベル上げをしていくRPGのように、これからのストーリーにワクワクしながら進めていければと思っています。

今日も最後までお読みいただきありがとうございました!
夏休みの宿題(読書10冊以上。そのうち3冊は感想を記事にまとめる)の達成まではもう1記事必要なので、来週までに読書記録の記事をアップできればと思います。そちらもお楽しみに〜。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?