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特別支援の「特別」って?〜小学生時代の記憶から考える教員としての在り方〜

小学3年生ある日、ボクは太郎くん(仮名)と遊ぶことをパッタリとやめた。詳しくいうと、先生のある言葉がきっかけでその子と遊ぶことに違和感を覚え、誘いを断るようになってしまった。

太郎くんはいわゆる、特別な支援が必要な子。
当時のボクも思い返せば、ひねくれもので、調子乗りで、友達には手を出していたし、相当面倒なやつだったのだが…(その辺りのエピソードはまた別の機会に…)


当時の担任の先生が家庭訪問のときに、
最近、太郎くんとよく遊んでいるみたいだね。ありがとう。
というような言葉を言ってきたのを覚えている。

その先生にとっては何気なく言った一言だったのだろう。でも、ボクにとってはすごく違和感のある言葉だった。

「どうして、わざわざそのことを取り上げる必要があったんだろう。」
「他の子とも同じように遊んでいるのに、なんで太郎くんと遊んでいることに感謝されるんだろう。」

子どもなりに考えた結果、太郎くんが急に特別な存在で、自分達とはちょっと違うんだと感じるようになってしまった。
その結果、「ちょっと違っている子と遊んでいる自分」を認識してしまったんだと思う。

それからは、遊びの予定を聞かれても、直接家に来て誘われようとも、何かと理由をつけて断っていたことを覚えている。(本当に申し訳ないことをしていた…)

先生からすると、おそらく何の悪気もない一言。(きっとそのまま太郎くんと遊び続けてほしいと思っていたんだろう)
でも、それと同時に、先生が太郎くんに対してある種の特別感のようなものをもって接していたんだと、子どもながらにも感じてしまった。


それから約20年。ボクは小学校で教員をしている。

特別支援に関しては、まだまだ知識も経験も少ないのが現状。目の前のその子(たち)にとって、最適な支援をしていくのは簡単なことではないし、初めて低学年を担任して、その難しさをより実感している。

調べてみると、「通常の学級に在籍する特別な教育的支援を必要とする児童生徒に関する調査」では、知的発達に遅れはないものの学習面、又は行動面で著しい困難を示すとされる、いわゆるグレーゾーンの児童生徒の割合が6.5%とされているよう。(40人学級だと、2・3人という割合)

そうした時代の背景もあってか、「文科省の検討会議で、全ての新規採用教員がおおむね10年目までに、特別支援学校や通級指導教室などの担任を複数年経験するよう求めた。」という記事を見かけた。
これに対してSNSでは、賛否両論、さまざまな意見があったと感じている。ただ、それだけ特別支援の知識・経験が通常学級を担任する上でも必要となってきているのは明らか。

こちらのニュース記事では、蓑手章吾先生が特別支援教育に対する違和感や真のインクルーシブ教育のあり方についてインタビューで答えていた。下の言葉はその中でも特に考えさせられたもの。

私も特別支援学校に行く前までは「正義」として特別な支援をしてきましたが、そもそもマジョリティーや大人の理想を「普通」という言葉で囲い込み、マイノリティーに「特別」とレッテルを貼って目立たないようにしていること自体に違和感を感じるようになりました。

子どもは学校教育の中で、「みんなと一緒に〜することが普通」ということを学んでいくし、それは教員がそういう指導をしてしまっているからだと思う。そして、その”みんな”が普通だと思い込んでいるものからはみ出すと、一気に「特別」という認定を受けてしまう

教科書を使って、みんなが同じ内容を同じペースでという画一的な指導をする限り、避けられないことなのだろうか。学び方が変われば、すぐにこのような捉え方も変わるのだろうか。


特別支援学級の児童との関わり方を、一般級の子どもたちはよく見ている。
これは、特別支援学級の担任の先生が言っていた言葉。
自分の体験と照らし合わせたことで、ずっと胸の中に残っている。

「(交流で来る特別支援学級の児童も含め)みんなが特別な存在だから、みんなを特別扱いするつもりで接する。
配慮はするけど、遠慮はしない。

誰が言っていたかわからないけど、覚えているこれらの言葉。
色々なスタンスはあると思うけど、言葉や行動の一つひとつに、その人が「特別支援」についてどう考えているのかが表れるのだと思う。

教員としての自分の言葉や行動は、子どもたちの目にどのように映っているのだろうか。「特別支援」に限らず、自分の何気ない言葉や行動が子どもたちに大きな影響を与えてしまうことを胸に刻んで、教員として生活していきたい。


ここまでお読みいただきありがとうございました。
「特別支援」、「インクルーシブ教育」など、まだまだ勉強不足な面が多すぎるくらいなので、これからも学んでいきたいと思います。

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