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同居再開。 喜び、期待、そしてエゴ。

前回の続き

2017年も終わりに近づいた頃、転勤話が現実味を帯びてきました。
もともと家族別居は、東日本大震災、福島原発事故が理由であったことから、会社には関東以外の勤務希望を伝えており、6年の時を経てそれが見えてきた、というわけです。

私の気持ちは高揚していました。
6年ぶりに同居ができる喜び、理想の家族の姿にまた戻せるのではないか、という期待感。
何となく新しい勤務地は大阪だろう、ということで、毎晩、駅から家までの間、ドリカムの「大阪Lover」や「あなたと同じ空の下」を口ずさみながら歩いていたのを思い出します。

長男・次男は、金沢のフリースクールに通うようになって数ヶ月が経ち、新しい場所で日々を楽しんでいる様子でした。
しかし、当時の私の考えとしては、これはあくまで一時的な環境であり、
「来春、家族同居が叶うことで、通常の道に戻れるに違いない。」
新しい土地でやり直せることへの期待感が強かったように思います。

そして2018年3月上旬、正式に大阪オフィスへの転勤が決定。
すぐに妻と1泊2日での家探し、引越しの段取り、仕事の引き継ぎと多忙な日々を過ごしながら、これから始まる新生活に向けて、胸躍る日々を送っていました。

学校に関しては、2人とも近くのフリースクールに行くこととし、公立小学校には「在籍のみ」にしていただきたい、と伝えることに。
妻は、学校との話し合いにいくらか緊張感を持っていましたが、地域性の違いなのか、これは意外とあっさり受け入れられ、ほっとしたものです。

2018年4月半ば、下調べを行っていたフリースクールの見学・体験を開始。
息子たちに妻が付き添い、ほぼ毎日通う日々が始まりました。
私の中では、「これで社会との接点を持つこともできて、いずれどこかで通常ルートに戻れれば良いな」と考えていました。

ところが、ところが、その理想はすぐに崩れます。

まず、次男がそのフリースクールの正式入学の承認が得られない、という事態が起こります。
このフリースクールは、生徒たちがスクール運営を主体的に担い、スタッフ(大人)は補助役、という仕組みを取っています。
スクール組織としての意思決定は、全て生徒たちによるスクールミーティングで行われます。
新しい生徒の入学についても同様に、運営側である生徒たちが、入学志望者のプレゼンテーションを聞いて、承認する・しないを決める仕組み。
一般の入学の流れとは、まるで違う仕組みとなっています。

後で聞くと、次男は「気の合う友達と出会えそうだから」とプレゼンテーションをしたものの、「それって公立小学校でも叶うことじゃない?」という質問に対して、返答できなかったようです。
当時小3のHSC次男にとっては、とても受け止めきれない出来事。ギャン泣き状態で帰宅したのでした。

一方、長男は「ここでしか出来ない経験があると感じた」というプレゼンテーションで承認され、正式に入学することになりました。

この入学プレゼンテーションの機会は1回きりではなく、体験入学期間内はリトライできるルールだったので、私は次男に対し、必死でリトライを薦めました。
前回の反省点も明らかでしたし、体験入学を経て芽生えた「行こう」と決めた気持ちを、また振り出しに戻したくない、ということが本音だったように思います。

入学した長男は運営側の立場になるので、「今度(次男が)プレゼンテーションする時は、お前が後押ししてやれよ」などという話しかけも。。
今、振り返ると、親のエゴ感満載でした。

エゴ行動は、まだまだ続きます。

最終的に「リトライしない」次男が出した答えに対する次の投げかけは、「じゃあ、新しいところを探そう。」でした。
検索すれば、情報はすぐに出てくる時代。
2つ目のフリースクール候補も近所で探し出し、妻と次男と3人で話を聞きに行きました。

「とにかく通える場所を探さなければ」。
当時、この一点に気持ちが行き過ぎていたのは否めません。
すぐに体験入学することを決めて、2つ目のフリースクール体験が始まりました。

しかし、そこには、次男の気持ちや本音は存在していなかった。
このことを、後で知ることになります。

次回へ続く。

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