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大人に必要な「京言葉」

きっかけ

おはようございます、吉岡悠人です。

早速ですが、今回この記事を書こうと決め手になった動画がこちらです。

実は最近、「自分はまだまだ子どもだなぁ」「どうしたら大人になれるのか」と考えていました。
しかし、この動画を観てその答えが少し分かった気がします。

動画はもちろん、こちらの記事も併せてご一読いただければ幸いです。

脚本の難しさ

中田さんは最近、お芝居の脚本を書かれているらしく、脚本の難しさを語っています。難しい事は沢山あるけれど、特に難しいと感じたのが"台詞"なんだそうです。

台詞の難しさ、それは「キャラクターが思っている事をそのまま言うと、魅力が半減する」という事らしいです。

悲しい時に『私は悲しい、、』
怒っている時に『僕は怒っているんだ!!』

という様な脚本を書くと、どうしても変になってしまう。

その時に、「人間って本心を言わないんだ」って気づいたそうです。

人間は嘘をつく

普通、人間は嘘をつくらしいですね。
皆さんはどうですか?一日にどれぐらいの嘘をつくでしょうか。
でもそれは、人間として普通の事なんです。

本当の事を言う人間の方が、とても珍しい。
だから本当の事ばっかり言う人間の掛け合いは、嘘っぽくなってしまうらしいです。

だから、この芝居はリアルだなぁと思わせるには「キャラクター同士が、薄っすらと嘘をつきあっている関係」の方がリアリティが増すらしいです。

嘘をつきあう関係

例えば、職場を辞めたい人がいて上司はそれに気づいている。
しかし、上司がストレートに『仕事辞めたい?』って聞いたら『はい』って答える部下は、現実にいないじゃないですか。
現実だとそんなストレートに聞く事も出来ないから、上司が『どう最近?楽しく仕事やれてる?』っていう様に迂回して質問するんですよ。そしたら部下も『はい、楽しく仕事やれています。』って答えるけど、転職サイトが開いたパソコンを閉じる。

みたいな方が現実味がありますよね。

迂回して聞いて、迂回して答える。
この様に人は、小さい嘘をつきあっているんです

短歌のコツ

短歌も似たようなモノらしいです。
フルーツポンチ村上さんは短歌が得意らしく、中田さんが短歌のコツを聞きました。

すると村上さんは、短歌のコツは「気持ちを言わない事だ」
と言ったそうです。

味わいが無くなる原因

例えば、好きな人がいて気持ちを表現する時に『あの人が好きで好きでたまらない』という文を入れてしまうと、味わいが無い訳ですよね。

好きだとストレートに伝えずに、好きの気持ちを匂わせる方がキュンとします。

中田さんが例えとして出したのがこちら

あの人が 忘れていった イヤホンに 窓から光が そっと差している

5:04より引用

光がそっと差しているのはどんな情景か、『ほっこりした気持ち』ですよね。これが、ずぶ濡れの雨とか雷のシーンだと、悲しみだったり怒りを表していそうですよね。

つまり、その人に対して少なくとも好意的な気持ちがあるのが伝わります。好きだという表現をしている訳ではないけれど、好きという気持ちを匂わせている

こうする事で一気に "味わい" が生まれます。

"京都の言葉" と "江戸の言葉"

さて、これまで脚本や短歌のお話をしてきましたが、実は"京都の言葉"にも似た要素があるんです。そして、これらと正反対なのが"江戸の言葉"。

"京都の言葉"

まずは"京都の言葉"です。
よく京都の人は、見た目はとても良い人そうで人当たりも良いが、とても腹黒いなんていわれています。

皆さんも一度は聞いた事があるのではないでしょうか。
『ぶぶ漬け(お茶漬け)でも食べて帰りはりますか?』という台詞。
初めて聞いた方には、おもてなししてくださっている様に受け取りがちです。しかし、本当の意味は『きちんとした食事を用意できないから、早く帰ってくれ』という意味なんです。

他にもあります。
『お宅の娘さん、ピアノお上手ですね。』という台詞。
こちらも、ピアノを褒めてくれている様に聞こえますが、本当の意味は『ピアノの音うるさいですよ』という意味です。

この"京都の言葉"
脚本や短歌と似ていませんか?

気持ちをストレートに伝えるのではなく、気持ちを迂回して伝える。その中には、小さな嘘もついている。非常に似ていますよね。

"江戸の言葉"

では、"江戸の言葉" だとどうなるのか。
『テメェんとこの娘が弾いてるピアノがうるさくってかなわねぇや』という怒ってはいないが、ストレート過ぎるあまり怒っている様に聞こえてしまう。

これにはちゃんと理由があって、「江戸は色んな所から人が集まって住んでは、また離れていく」という特徴があります。つまり喧嘩しても大丈夫。嫌な人と付き合わないっていう事が出来るんです。だから気持ちをストレートに伝える事が出来るし、それで喧嘩になっても問題がないという事なんですね。

古き都"京都"

しかし、古き都の京都はそういう訳にもいきません。
家同士の関係性もあるし家柄の問題もあるため、問題を起こしたくない。そのため、ストレートに伝えない事で『そんな事は言っていない』という言質を取らせない。つまり、逃げ道を作っているという事なんです。

『ピアノがうるさいという事ですよね』と言われても、『そんな事言ってはりませんやろ、お上手ですねって褒めてるんです』と逃げられるんです。

漢"江戸っ子"

京都と違って、江戸の魅力は漢っぽいところですよね。
今の時代、こんな言い方はあまりよろしくないのかも知れませんが、見栄っ張りだし意地っ張り。芯を持っているため、喧嘩っ早いけど人情家で涙もろい。

気持ちを真っ直ぐに伝えてくるから、なんか憎めないんですよね。それと同時に、なんだか惹かれてしまう。

京都の人は、真っ直ぐに気持ちを伝えず遠回した言い方になってしまう。漢らしさを感じないし、惹かれるモノもない。

大人の"京都"、子どもの"江戸"

でも年齢を経ていくうちに、人は変わります。

子どもの頃は、"江戸っ子"に惹かれる人が多いのではないでしょうか。自分の気持ちに真っ直ぐで、不器用な生き方
しかし、どうでしょう。

そんな大人をあなたは見た事がありますか?
多くの人が、大人と言われて思い浮かぶのは"京都"の様な人ではないでしょうか。

気持ちを表に出す事もなく、小さな嘘をつきながら上手に人と付き合う。大人の関係って、こんなイメージですよね。
すぐに感情をぶつけ合って、喧嘩をする子どもとは違います。

成長している証拠

どこか寂しい様な気もしますが、これって当たり前の事なんですよね。
成長している証拠です。

子どもの頃は、人の気持ちに気づく事も難しいし語彙力もあまりない。だから、自分の気持ちをストレートにぶつける事しか出来ない。

しかし大人になるにつれて、人の気持ちを察する事が出来る様になる。そして、ストレートではなく遠回しの言葉でも気づいてもらえるような言葉選びが出来る様になる。

立派に成長している証拠ですね。

ホストクラブから学ぶ

山本裕典さんが出演している【愛のハイエナ】という番組をご存じでしょうか。山本裕典さんがホストになって、実際に接客する番組なんですが、そこで教えられていたテクニックが凄い。

女性の褒め方ですが、「可愛いって直接言ったらダメ。前振り一回利かせる」という事らしいです。
例えば、『ショートカットって可愛い子しか似合わないよね』って言った後に、『ショートカット似合うね』って言うらしいです。つまり、「君は可愛い」って事ですよね。

でも、直接「君は可愛い」って言ってないですよね。
めちゃくちゃ凄いテクニックです。

全て京都の言葉に通ずる

これまで話した様に、脚本や短歌、ホストクラブなど、全てが言葉を巧みに扱いストレートに伝えない事で深みが出る。
そして、「人の気持ちを掴む」事が出来るんですね。

"京都の言葉"は比較的嫌味の時に使われるけど、ホストではそれが褒め言葉として使われる。

言葉って面白いなと思いました。

スポーツ感覚で楽しむ

これまでは、思った事は全て伝えるのが正しい。嘘なんてつきたくない。それで喧嘩になっても別に良い。ぶつかるのも一興だなと私も中田さんと同じく思っていました。

しかし、これからは言葉の駆け引きをスポーツの様な感覚で楽しもうと思います。考え方を少し変えるんです。

ストレートに伝えず、相手に察してもらうためには。
相手の発言に隠されている事とは。

言葉の駆け引きが上手くなる事で、大人に近づけるのかなと思います。

長くなりましたが、ご一読していただきありがとうございました。

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