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夫の浮気相手にお中元


いろんな相談を受ける。
それが仕事だもん。

相談の中には、家族関係、ズバリ離婚や浮気の相談もある。
その中の一つ。

夫が浮気をしているので相談に乗って欲しいと来られた。
笑顔の綺麗な上品な方だった。

笑顔が綺麗な人は、要注意。
公私共に充実していて、人間力が半端じゃない。
下手な小細工は通用しない。にこにこ笑っているが、見抜かれている。

だから、直球勝負。
ガチンコで向き合うしかない。

話をいろいろ聞いていて、離婚を希望されるのかとお聞きしたら、いや離婚はしたくないとのこと。

なぜと聞くと、ご主人のことが好きだからと言われる。
浮気されていても、好きなのですかと聞いたら、明確に「好きです」との返答。

この段階で、私はメモを取るペン(実際はえんぴつ)を置いた。
これは、法律問題ではない。つまり法律で解決できる問題ではないとわかったから。

人の好き嫌い、愛情は、法律でどうこうできるものでは無い。
いわゆる不貞をすれば、不法行為になり、当事者に損害賠償請求をすることができる。

要するに、お金をぶん取れる。
だから、この野郎という感じで、不貞をした当事者(この場合、旦那も含む)に経済的損失を与えることは、法律的にはできる。

腹いせくらいにはなるかも知れない。
しかし、そうやったところで、当事者の愛情が消えるわけではない。むしろ、逆効果になることの方が多い。

さて、どうしたものか。

ご主人は、外泊はしないという。
どんなに遅くなっても、必ず家には帰ってくるそうな。
家では、会話等も普通にできているという。

離婚するとか、愛人のところに走りたいとかいう感じでは無いという。

聞いてみた。
もし、ご主人が、定時、例えば毎日6時に帰宅するようになったら、どうですか。そして、毎日、ホニャララを求めてきたら、どうですかと。

「それは、困ります。」
なぜです。
「それは鬱陶しいですもの。」

そうですか・・・だったら、その鬱陶しい部分を愛人の方が引き受けてくれているともいえますね。客観的に見ると。

「まあ、そうですね。」
おまけに、ご主人は離婚とか考えておられない。
つまり、現状の生活の変更は望んでおられない。

「・・・・・」

何か不都合はありますか。
むしろ、今の愛人の方がいなくなって、ご主人が早く帰宅するようになったら、鬱陶しい事態になるわけでしょう。

あるいは、今の愛人と別れ、別の愛人を見つけ、その人が、籍を入れろとかなんとか要求するような人だったら、それはそれで、面倒なことになりませんか。

「そうですね!!」

ついでにいうと、もし離婚するようなことになったら、財産分与で、ざっくり言って、ご主人の財産の半分はもらえますよ。
今、お聞きした限りでは、結構な財産になりますな。

また、ご主人が亡くなった時には、愛人の方には相続権はありません。あなたが相続人です。

このまま、どんと構えていても、何も問題は生じないように思えますが。

「そうですね!」

むしろ、鬱陶しいこと面倒なことを引き受けてくれていて、なおかつ、妻の座を狙うとかしてないのだから、感謝すべき対象では無いかと思いますが。

盆暮に、中元やお歳暮を持っていってもバチは当たらないくらいでしょう。

「そうですね!!」

ご主人が亡くなるようなことにでもなったら、今までお世話になりましたと、遺産の一部でも差し上げるくらいでちょうどいいのではないですか。

(ここは、笑って済ませられた。もっとも、甲斐性のあるご主人のことだ、この辺りの手当はちゃんとしておくだろう。)

一応法律的な観点からお伝えしますが、ご主人の浮気の証拠等を集めておくと、いざ離婚となると使えるかもしれません。

しかし、これをすると、心の奥底で、離婚というスイッチが入るので、ご主人に対する態度、気持ちに変化が生じるようになるかもしれません。

ご自分が選択されることですが、現状を考えるとあまりお勧めではないですね。

「わかりました。スッキリしました!」

えっ、スッキリした?
ほんと?

確かに、私の言っていることに嘘はないし誤魔化しもしていない。
理論的にもあっている。

しかし、普通は、
あんた理屈は分かる。
でも、人間の気持ちや、感情はそんな簡単なもんじゃないわい。
この唐変木! となりがち。

それを、諄々と説いて納得してもらうまでに時間がかかる。
それを一発、「スッキリ」されてしまった。

「ありがとうございました。料金はおいくらでしょうか。」
(得た経済的利益は、うん千万円を下らない。○パーセンを掛けて・・・、なんて0.5秒位・・・やったかどうか。)

いや料金はいいですよ。(あまりにうまくいったので驚きと、喜びが入り混じって、損得勘定系が機能麻痺)

「笑顔が綺麗」・・・恐るべし。

後日、私の好きな和菓子が届いた。
血糖値が〜〜!

ほとんどが、スタッフの胃に収まった。



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