見出し画像

三体(ドラマ)

つぶやきでドラマ三体をお薦めした。

三体問題というのがある。
空間に物体が一つあるとする。
まあ、イメージしやすいように、ビー玉のような球体を思い浮かべてみるといい。

この球体は、外から力が加わらない限り、そこに静止しているか、等速運動をする。(慣性の法則:ニュートンの運動法則1)

球体が二個あると、互いに引力が作用して引っ付くか、互いの共通重心の周りを回る。

とまあ、ここまでは計算できる。

しかし、これが球体が三個になるとどうなるか。
一つの球体は、他の二つからの引力の影響を受ける。尚且つその球体自身も他の二つに影響を与える。

これを数学的に解こうとすると、方程式10個に対して変数が18個(あるテクニックを使うと変数2個を消去して16個になる)出てきて、解けなくなる。

つまり、3個以上の物体=星の動きは計算できないというのが、物理学上の問題になっているのだ。

じゃあ、どうやって惑星や衛星の軌道を計算するか。
それは、近似値を使う。

例えば、木星の軌道を計算するとき、本来なら衛星の質量も考慮しなければならないが、木星や太陽に比べると非常に小さい質量なので、これを無視して、太陽ー木星の2体の問題として計算する。

さて、これがわかった上で、このドラマ三体の話。

話は、最先端の素粒子物理を研究していた女性物理学者の自殺から始まる。
残した言葉が、「物理学は存在しなかった。将来 も物理学は存在しない。」

時を同じくして、世界各地で、それぞれの最先端を研究している優秀な科学者の自殺が相次ぐ。同じような言葉を残して。

応用物理学者でナノ分子の量産化を研究している主人公は、目の前に40数日をゼロとするカウントダウンの映像が見えるようになる。

そして、謎の人物から、今やっている研究をやめないとカウントダウンの数字がゼロになった時、よくないことが起きると警告を受けるようになる。

なぜ、誰が、何のために、最先端の科学技術の研究をすることをやめさせようとするのか、謎が深まる。

とまあ、こんな具合で始まる。

私は、以前、もし地球がもっと天の川銀河の中心近くの、周りが星で密集している位置にあったり、太陽が2つや3つある星系(連星や三重星は宇宙に割とよくある)にあったとしたら、果たして、ケプラーは、惑星の運動法則を発見できたであろうかと、考えたことがある。

大体、銀河の中心部にいたら、恒星(天空でその位置が動かない星)なんてなくなり、惑星と区別がつかなくなるのではと思う。

そんな複雑な天体の動きを観察して、天文学、引いては物理学は発達するのだろうか、少なくても天体物理の発達はかなり困難じゃなかろうかと思う。

太陽が天の川銀河の端にあり、太陽系に太陽が一つであったというのは、非常にラッキーなことに思える。

太陽系に太陽が一つであったため、惑星の運動法則の発見が容易であり、太陽が銀河系の端にあることによって、宇宙には、たくさんの銀河系があるということが発見できたとも言える。

地球から見て、天の川銀河の中心と反対側を見た時に、天の川銀河内の星以外の他の銀河が見えやすい。

反対に、天の川銀河の中心方向だと、それこそ天の川銀河ないの星が邪魔になって、その向こうにある銀河が見えにくい。

天の川銀河の中心付近に、太陽系があった場合、どこを向いても、この銀河の中心を見ているようなもので、他の銀河の発見は難しいと思える。

こう考えると、意味は違うと思うが、「文明は辺境より至る。」というトインビーの洞察を思い出す。

とにかく、地球が、太陽が、この位置にあることの幸運に驚くばかり。

こんなことを考えると、私は、宇宙には地球以外に生命が存在すると思っている。
しかし、知的生命体が存在するのは、ましてや、宇宙に進出する能力を備えたものが存在するのは、かなり稀じゃないかと思わないでもない。

三体を見て、改めていろいろ思ったものだ。






サポートしていただけるなんて、金額の多寡に関係なく、記事発信者冥利に尽きます。