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何を食べるべきか

主治医のK先生が、話してくれた。

『人の体には、毎日5000個のがん細胞ができている。』
「そんな、それじゃ、みんな癌になるじゃありませんか。」
『通常は、免疫力等で殺しているから、発癌しないでいるのだ。』

「そもそも、癌細胞が発生しないようにはできないのですか。」
『ガン細胞の発生自体を抑えるのは、実際問題として不可能なのだ。
なぜなら、現代の日本人が食べているものには、多かれ少なかれ、発癌物質を含んでいるからである。したがって、発癌性のないものを食べようとすると食べるものがなくる』

「へえ、絶望的ですね。なんとかならないものですか。」
『うん、それは、食べ合わせを考えればいい。』
「どう言うことですか。」
『ある食べ物に発がん物質が含まれているとすると、その発がん物質の効果を消す物質を含んでいる食べ物を食べるようにする。』
「なるほど。そうすれば解決ですね。」

『理屈の上ではそうだが、実際はこれもなかなか難しい』
「・・・・」
『なぜなら、発がん物質を抑える物質を含んでいる食べ物にも、他の発がん物質が含まれている。』
「えっ!」
『だから、その発がん物質の効果を消す物質を含む、また他の食べ物も必要になってくる。』
「えぇっ!? そんなことだと、えらい複雑じゃないですか。」
『大体、一食あたり、30種類ほどのものを食べないといけない。』
「・・・!!!」

『これも現実的ではない』
「結局どうしようもないということですか。」

『方法はある』
「教えてください!」

『体に任せる』
「はぁ?」
体に必要なものを選ばせる
「・・・・・」
『体は必要なものがあったら、それを食べたくなるようにできている。』
『鉄分が不足していたら、鉄分を含むものが食べたくなる。』
『同じように、発がん物質を抑えるものが必要だったら、それを含むものを食べたくなるようにできているのだ。』

「なるほど。じゃあ、食べたいものを食べていればいいのですね。でも、好きなものを食べている結果、色々病気や肥満になっているのでは。」
それは食べ物があるからだ。』
「・・・・・・」

先生の話は、時々禅問答のような話になる。
と言っても、縁なき衆生は度し難し、なんて、坊さんみたいに突き放したりはしない。私は、なぜ、どうして、そのメカニズムはと、全く遠慮せずに質問するのだが、聞けばどこまでも答えてくださる。

時には1時間、1時間半に渡って、色々お話してくださる。
まあ、私の検診の予約が、いつも午前中の最後の枠にしているということもあるだろうけど、それでも、ご自分の昼食や昼休みの時間が少なくなったり、場合によってはなくなることにもなる。しかし、嫌な顔一つせずに、私の疑問に真っ向から答えてくださる。

これが毎月、10年以上も続いているので、体のことに関して、私には極めて優秀な個人教授がついているようなもので、とてもありがたい。

ちなみに、先生、マルチリンガルで7ヶ国語がお出来になる。
外国語ができるといのは、どんな状態なった時のことを言うのですかと聞いたら、電話で用が足せるようになったら、一応できると言っていいでしょうと言われた。納得した。

また、また自ら鍼を習得しに中国に出かけマスターされ、治療に生かされている。週3回ほど、太極拳を患者さんに教え、ご自分は、毎朝1時間、ヨガをされ、社交ダンスも習われていて、90歳の誕生日に、孫娘とダンスを踊るのが夢だと言っておられる。つまり、90歳になっても、社交ダンスが優雅に踊れるくらい、軽やでしなやかな動きができる体を維持しておこうということだ。

私より、数歳年上なのだが、体の動きを見ていると、小柄でいらっしゃることもあるが、20代後半と言っても良いくらいだ。
全く見事な真人間だ。

さて、食べ物があるからだの話。
『人間と言わずも、およそ動物、生物が食物を取るのは体を維持するためである。』「そうでしょう。」

『だから、基本的に体に必要なものを摂取しようとする。つまり、そのとき最も体に必要なものが欲しくなるようにできている。』
「はあ」

『それが満たされると、今度は備蓄しようとする。自然界では、今度いつ食物が手に入るかわからないからだ。』
『自然界では、食料は不足することはあっても、有り余ることは滅多にない。常に飢餓と隣り合わせなのだ。』
『従って、生物は飢餓対応にできている。』
「・・・・・」

『問題は、現代日本社会では、食べ物が不足することはない。むしろ、望めば際限なく手に入る。』
「まあ、特殊な場合を除いてそうでしょうね。」

『だから、体は必要以上のものをどんどん手に入れる。』
「でも、それでも構わないのではないですか。」

『いや、ここで生物の基本構造である、飢餓対応が問題になってくる。』
『飢餓対応なので、体は、栄養が不足する事態に対する対応策は色々準備してある。しかし、栄養がありまる場合の対応策は、基本的に備わっていない。

『具体的に言えば、栄養分を体に蓄積するためのホルモンは何十種類もあるが、取りすぎた余分な栄養分を排出するために働くホルモンは、インシュリン、ただ一種類しかない。』

『だからこのインシュリンの出が悪くなると、体が壊れる。いわゆる糖尿病だ。』

「じゃあ、いわゆる腹八分にしておけば良いということですか。」
『まあ、それで一応いい。』
一応というと・・・」 私は、この辺りは、曖昧にしておかない。

『体に備わっている能力を十分に発揮させるには、体を本来的な状態に置くのがいい。つまり、飢餓線上におく。』
「・・・・・」
『そうすると、体は生き延びるために必要なことに必死になる。』
「・・・・!」

『その状態にして、体の欲しがるものを食べると、食べ合わせを体が選んでくれる。』

なるほど



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