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おばけになるところだった私を娘が救ってくれた話

もう1時間経つだろうか。

スマホは充電が切れていて、ただ暗闇の中で目を開けたり閉じたりぼーっとして過ごしていた。

隣の寝そうで寝付いていない娘を見ながらとにかく時間が過ぎるのを待っていた。

目を閉じているもののどこかもぞもぞしている時は大抵眠っていないのだが、確実に1時間はこの状態だ。

布団の中でおとなしくしているなんて逆にすごいと思う。

今夜済ませなければいけない家事を考えたり、やりたいことを妄想してみたりしたが…


だめだ。

暇すぎる。


限界を迎えた私はそぉっと布団から抜けた。

案の定ひょこっと頭だけをあげ眠そうにこちらを見ている。


しまった。

やっぱり起きていたか。


「トイレいってくるからちょっと待っててね。」


そういってリビングのある2階に上がり、お茶を飲んで、スマホを充電した。

寝室を出た時、眠そうにまた横になっていたので「お、意外といけそうだぞ?」

とそのまま他のことを始めた。



すると突如

「ママーーーーーーーーーーーーーーー!!!」

と言う叫び声がした。

「おいでーーーーーーー!!!!」

「ママーーーーーーー!!!」

「早くーーーーーーーー!!!」


と何やら号泣している。

いつもの泣き方と違い、大号泣だ。

どうしたものかと慌てて下へ降りた。


「どうしたの? ごめんね、ちょっとトイレいってたんだよ。」

と言うと

「ママ、おばけなっちゃうよ。」

「寝ないとおばけなっちゃうよ。」


「そっか、ママが起きてたから教えてくれたんだね。」


泣いて嗚咽しながら頷く。


せなけいこさんの『ねないこだれだ』

という絵本にインスパイアされていたようだ。


よなかにあそぶこはおばけにおなり

おばけになって飛んでいけ

おばけの世界へ飛んでいけ


特段怖がっている様子もなかったのだが、

「寝ないとおばけになってしまう」

という恐怖はあったようだ。


「ママおばけになっちゃうところだったね、ありがとね。」


そういっておばけになるのを救ってくれた娘と一緒に寝ることにした。

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