マガジンのカバー画像

くんくんの小説

3
ナイスな小説が貯まる場所
運営しているクリエイター

#短編小説

小説短編1:「電柱」

小説短編1:「電柱」

 「私は本当のことを知っている。」彼はそう断言したうえで、こう続けた。「なぜキジバトの鳴き声は中途半端に終わるのか。あのガスタンクは本当にあんなに丸い必要があるのか。なぜ蟻には一定の割合でサボるやつらがいるのか。答えは全てある一点に収束する。」

 私が彼と出会ったのは、実家から歩いて20分ほどの場所にある「図書館」だった。
 あの時私は、自宅に篭りきりの生活についに耐えかねて、梅雨の時期に傘も持

もっとみる