よんひろ

小説と、その他諸々

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最近の記事

なかなか本題に入らないYouTuberの特徴【ショートショート】

こんにちは!YouTuberのミクです。今回の動画は、「なかなか本題に入らないYouTuberの特徴」ということでやっていきたいと思います。 普段、みなさん色んなYouTuberの動画を観ますよね?その中には、なかなか本題に入らない動画があったりします。 「早く知りたいのになかなか本題を言わない」「本題に入る前の前提が長い」そんな動画、ありますよね。 そこで今回は、なかなか本題に入らないYouTuberの特徴をご紹介します。これでみなさんも、なかなか本題に入らないYou

    • 街のいたる所で巴投げが流行しているようです【ショートショート】

      ここでニュースです。オリンピックの柔道競技で日本人女性選手が巴投げを繰り出し、金メダルを獲得した影響で、街のいたる所で巴投げが流行しているようです。取材班が街ゆく人200人に調査を行ったところ、約4人に1人が路上で巴投げをしていたことが分りました。 そしてこちらの映像をご覧ください。取材班がインタビューしている後ろで、巴投げをする男女が映り込んでいます。男女に話を聞いてみました。 取「どうしてこちらで巴投げを?」 男「今日は付き合って1年の記念日でそのお祝いに」 取「それ

      • メントスコーラをやることになって【ショートショート】

        友達とメントスコーラをやろうということになって、俺が一人でコンビニに買いにいくことになった。普通の買い物なら別に恥ずかしくとも何ともないし、メントスを買うことも、コーラを買うことも支障はない。でも、メントスとコーラを同時に買うのは恥ずかしい。だってメントスコーラをやる気満々なことが店員にバレるからだ。しかも流行ってもいないこの時期に。 友達に買ってもらえばいいのかもしれない。でも友達はそんな羞恥心なんて一切持っていない人だから、「メントスとコーラを一緒に買うの恥ずかしいから

        • 私はあの日、高速バスに飛び乗った

          10年ほど前、私は旅に出たい病にかかっていた。青春18切符の時期になるといかに効率よく旅先を巡るかを考えていた。お金のかからない旅行ばかりだった。ある時、18切符で行ける圏内には行きたい場所がなくなって、私は高速バスを使うことにした。だが、行き先が前日になっても決まらない。 当日、私は仕事だった。その日は金曜日で、とりえあず1泊分の荷物だけを持って出勤した。そして仕事終わり、大阪駅のバスターミナルに来た私はまだ旅先が決まっていなかった。ここまで来るともう、バスターミナルで行

        なかなか本題に入らないYouTuberの特徴【ショートショート】

          0と1の電気信号 #未来のためにできること

          この前まで私は本を買う時、電子書籍ばかり買っていた。端末1台あれば本棚もいらないし、いつでも好きな時に好きな本を読めるのはやはり魅力的だった。だが、最近は考えが変わってきた。手元に置いておきたいという気持ちもあるが、もう1つ自分に芽生えた感情がある。 電子書籍はいわゆるデータである。私はシステムエンジニアの仕事をしているため分かるのだが、データというのは0と1の電気信号でしかない。文字がたくさん書かれていても、主人公がどれだけ活躍する小説であっても、そこにあるのは0と1の電

          0と1の電気信号 #未来のためにできること

          小説「論破してくる新入社員」#1

          中堅社員が多い我が社に新卒社員が入ってきた。新卒採用は初めてである。4名採用したが、その中で注目なのは村田君だ。村田君は大学で討論部に入っており、数々の賞を取っている。面接での受け答えにも舌を巻いた。新入社員研修を終えてプロジェクトに配属してしばらくしてから、村田君の上長からフィードバックを受けた。村田君の採用を決定したのは私だったので、彼の活躍は楽しみだった。 だが、フィードバックの結果は良くなかった。上長によると、村田君は会議の場で、並み居る先輩社員の前で食って掛かるよ

          小説「論破してくる新入社員」#1

          小説「父と息子」#1

          「父さん、ぼく実況になりたい」 5歳になる息子が自分の夢を口にするのは何度目だろうか。これまで「海賊になりたい」「イーロン・マスクになりたい」「オリンピック委員会の会長になりたい」といった、一風変わった夢を語っていた。その度に私は、息子の夢のためになるのではと思い、海賊の歴史を調べ、イーロン・マスクの伝記を読み、オリンピック委員会を訪れて門前払いをくらった。全ては、息子の可能性を無にしたくないから。私は息子の夢のためなら、自分の時間を惜しまない。 実況の夢を語ったのは、オリ

          小説「父と息子」#1

          コラム「"美"とは」

          以前、何かの記事で読んだことがある。美というのはある方程式で表せる。 「美=暗示的情報量÷明示的情報量」 例えばプロポーズの言葉として、「君と一緒に人生を歩みたい」と言ったとする。この場合の明示的情報とは「一緒に人生を歩みたい」というただそれだけのことである。「結婚」は明示的には表現していない。「結婚してください」というのは暗示的情報になる。 つまり、その表現の中に隠された意味が暗示的情報で、表現そのままの内容が明示的情報なのである。 改めて方程式を見ると、暗示的情報

          コラム「"美"とは」

          小説「迷惑系YouTuberに迷惑かける系YouTuber」#1

          回転寿司に行っても回る皿は取らず、いつもタッチパネルから食べたいネタを注文する。それが向井利光の流儀だ。それなら江戸前の寿司屋に行けばいいとの声が上がりそうだが、やはり回転寿司のコスパは魅力的である。今日も一人でテーブルに座り、タッチパネルを操作する。しかし今日はいつもと違う。どれだけ待っても注文した商品が届かないのだ。 呼び出しベルを鳴らし、店員を呼ぶ。白い衣装を身にまとった学生とおぼしき男性店員が、「お待たせしました」と気だるそうな声で言ってきた。 「注文した商品が届

          小説「迷惑系YouTuberに迷惑かける系YouTuber」#1

          小説「私はレジしかやりません」#1

          「私はレジしかやりません」 バイトの初日に早々、制服に着替え終えた広田とも子は、事務作業をしていた店長の村田さえ子に言った。黒縁メガネに黒髪のストレート、いかにも真面目な女性だ。その真面目さを買って採用したのに、レジしかやらないとはどういうことか。 「品出しも、掃除も、挨拶もしません」 事務所の椅子に座る私に直立不動でとも子は言った。足りなくなった商品を補充し、汚れた床を清掃し、お客様に元気に挨拶をする。それもコンビニバイトの仕事だ。面接でも伝えたはず。 「面接で言わなか

          小説「私はレジしかやりません」#1

          小説「母さんと僕 緊急停止ボタン編」

          僕「押してはいけないボタンほど、押したくなるものはないよね、母さん」 母「そうだね、たかし」 僕「でもみんな結局は押さないんだ」 母「確かにそうね」 僕「今までは僕もそうだった。でも今日の僕は違う。母さん、今日の僕は押すよ」 母「ダメよ。これは何もないのに押しちゃダメなのよ」 僕「僕はもう今までの僕じゃないんだ!お願いだ母さん、ボタンを押させてくれ!」 母「……私の知らない間に、大人になったのね。」 僕「……」 母「いいわ。あなたはあなたの人生を生きなさい」 僕「ありがとう、

          小説「母さんと僕 緊急停止ボタン編」

          小説「母さんと僕 ジェットコースター編」

          僕「母さん、僕は何事も縛られるのが嫌いだ」 母「知ってるわよ、たかし」 僕「だから僕はジェットコースターに乗っても、体を固定されるのが嫌なんだ」 母「なんてことを言うの」 僕「僕はこれからベルトを外す」 母「ダメよ。そんなことして、生きて帰れると思ってるの?」 僕「僕はもう今までの僕じゃないんだ!お願いだ母さん、ベルトを外させてくれ!」 母「……私の知らない間に、大人になったのね。」 僕「……」 母「いいわ。あなたはあなたの人生を生きなさい」 僕「ありがとう母さん。母さんはい

          小説「母さんと僕 ジェットコースター編」