街のいたる所で巴投げが流行しているようです【ショートショート】

ここでニュースです。オリンピックの柔道競技で日本人女性選手が巴投げを繰り出し、金メダルを獲得した影響で、街のいたる所で巴投げが流行しているようです。取材班が街ゆく人200人に調査を行ったところ、約4人に1人が路上で巴投げをしていたことが分りました。

そしてこちらの映像をご覧ください。取材班がインタビューしている後ろで、巴投げをする男女が映り込んでいます。男女に話を聞いてみました。

取「どうしてこちらで巴投げを？」
男「今日は付き合って1年の記念日でそのお祝いに」
取「それはおめでとうございます！巴投げは初めてですか？」
女「はい、最初は不安だったんですけど、彼がちゃんと受け身を取ってくれて助かりました！」

男女へのインタビューを終えたその時、さらに後ろで、今まさに巴投げの姿勢に入ったご夫婦と思われる男女がいました。

取「お取り込み中に申し訳ございません。いま何をされているのでしょうか」
妻「話しかけないでちょうだい！」
夫「許してくれ。俺が悪かったから、許してくれ！」

そして奥様と思われる女性は、両足で見事な巴投げを決め、そのまま関節技に入り、旦那様が地面を3回タップしました。見事な勝利です。

巴投げは別の場所でも行われています。こちらの温泉宿では、宿泊客が入口に入ってすぐ、女将が巴投げをかけてくるとのことです。宿泊客に話を聞いてみました。

「いやーこれだけでもここにして良かったなぁって思います」

女将に話を聞くと、あの金メダルを見た時に「うちでも取り入れよう」とひらめき、練習のために三日三晩、支配人を投げ続けたといいます。

政界にも動きがあったようです。衆議院解散をめぐる議論が活発化している与党では、解散を推し進める議員たちを総理が呼び出し、一人ひとり巴投げをかけているようです。こちらは官邸での会見の模様です。

取「総理、解散の圧が強まっています。年内の解散はあるのでしょうか」
総「状況を見極めて、様々な状況を考慮しながら、適切に検討を進めて……」
取「総理？総理？」

そして総理は取材陣一人ひとりに巴投げをかけていきました。取材陣を投げた後、総理は言いました。

総「検討を進めて参ります」

このように、巴投げが街中から政界に至るまで、様々な場所で行われています。いつ巴投げをかけられてもいいように、受け身の準備をしておきましょう。

以上、巴投げに関するニュースをお伝えしました。続いてはお天気です。斉藤さん？

斉藤「はい、今日も猛暑が続いていますが、みなさんいかがお過ごしでしょうか。こちら屋上も、照りつける太陽がまぶしく……」

斉藤さん？斉藤さん？！