見出し画像

あぁ嘆かわしき年末調整①  (年末調整を業務でするのは税理士か社労士か)

12月は仕事納めまで年末調整真っ最中のシーズンです。
ですが、今年に限っては独立してすぐで顧問先もほぼない(皆無ってわけではないよ)ので業務としての年末調整はほぼありません。良かった。

ところで、会社だろうと個人だろうと給与を支払っているのであれば年末調整をしなければなりません(※)が、実際の業務は自分(自社)でやるか、もしくは外部の専門家に委託しているかと思います。さて、ここで外部に委託するとしてどこ(誰)に委託していますでしょうか。


給与計算をやってもらっている社労士(社会保険労務士)の先生にやってもらっている…というところが、実はけっこう多いと思います。

ではありますが、法律上設立が求められている業界団体である日税連・・・略さずに言うと日本税理士会連合会としては、年末調整は税理士の業務であると主張し、社労士会(全国社会保険労務士会連合会)との話し合いもついている、としています。
つまり、所得税を確定させる税金計算だから、社会保険の業務をする社労士ではなく税理士の業務である、ということですね。税理士会側はナワバリを荒らすなと主張して、両団体のトップが話し合って、わかりましたそれは税理士の仕事ですと社労士側は認めている…ということになっています。一応。

そうはいっても、社労士事務所に勤めている人が12月は残業が多くて大変だと言ったり、社会保険労務士法人のホームページにある料金(報酬)表に、年末調整業務が○○円だとかを堂々と掲載されていたりしています。

わたしが以前所属していた税理士の支部では、この時期に開催される会合(例会)で、社労士が年末調整をしているのを見かけたらご一報を、と広報していたものの、年末調整も社労士がやっている(ところもある)というのは半ば公然の事実です。

士業間の職域問題はそこかしこにありますが、年末調整業務は税理士業界でのもっとも著名な職域問題の一つかもしれません。

とはいえ、年末調整は年々複雑になり、とくに2020年を境にこれはちょっとどうにかせねばいけない領域に達した感があるので、もはや職域問題にこだわっている状況ではなくなっているように思います。そのあたりはまた次回に。

本日の日本人の3割も多分知らない税金とかの話 
─年末調整業務は、社会保険労務士ではなく、税理士の業務。

(※)所得税法190条は「給与所得者の扶養控除等申告書を提出した居住者で」と規定されているので、扶養控除等申告書(いわゆるマル扶)を提出しない居住者(平たく言えば従業員)に対しては、年末調整をしないことになります。ちなみに、マル扶の提出義務者は給与の支払者ではなく、従業員です。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?