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【書評】東大最年少准教授による「AI救国論」

1年ほど前にお仕事でご一緒した、東大最年少准教授・大澤さんの著書をさっそく読んでみました^^物腰穏やかで話しやすい方だったのですが、この本を読んで経歴や考えを知り、なんだか恐縮です・・こういった方が次世代のリーダーになって世の中にイノベーションを起こしていくのでしょうね。
私が関わったYouTuber出演イベントについても、新たな手法として好意的に紹介して下さり、本当に感謝です。また何か一緒に仕掛けたいですね。
本書は現代の旧体制のままである受験構造、人材育成や活用、新時代のビジネスモデルについて、東大教授の視点で分かりやすかったり専門的な表現で解説していて、学生から大人まで参考になる1冊です。

こちらが私が担当した案件動画です。

〜本文抜粋〜

お金を無駄にする活動は、大体時間も無駄になる。そのため、小学校時代から図書館にこもってひたすら勉強していた。図書館で様々な著名人(経営者・研究者) のエッセイを読んでわかったことは、「スキルは希少価値がないと意味がない」ということであり、苦手なことで時間を無駄にしないよう徹底的に取捨選択してきた。

英才教育のエリートかと思いきや、やや苦しい生活を強いられていたようです。
父親の影響で始めたプログラミングが人生を大きく変えたといいます。初期投資のPCと電気代だけで無限の可能性を秘めているIT業界ですが、IT土方になりやすい日本の現状を知ることが出来ます。

今の企業が求めているのは、テクノロジーが分かる管理職であるが、実際には手に職を持ったIT土方タイプか、口だけ動かす高学歴ジェネラリストに二極化されており、その中間であるテクノロジストがほとんど存在しない。

アメリカと異なり日本はプログラミング成果を正当に評価できる人材が不在なので、エンジニアの年収は低く、ユーザー企業やプラットフォーマーは内製ではなく外注が増えるので、SIerへ人材が集まりがちなのだそうです。

義務教育ではっきりと教わらないので我々日本人は強く意識しないが、二人の人間を比較する場合に国際社会において唯一意味を持つ評価基準はカネであり、偏差値ではない。外資の給与水準は「どれだけカネを集められるか」だけで決まり、日本企業のように学歴や勤続年数には依拠しない。

外資は実力主義なので納得出来るのですが、日本の特に大手企業は、実力だけではなくて運や政治的な要素もある気がしています。なのでそういった要素を排除して、実力ある人が比例して年収も増えれば、本当の意味で市場価値を比較しやすくなるでしょうね。

IT業界に詳しくない読者のために説明すると、こうした日本のSIerの傾向は「カリフォルニアの寿司屋」と非常に類似している。寿司屋に来る客は金持ちだが、本当の寿司の味は評価できないので、どんな料理を出されても「これが寿司か」と思って食べる。そのため、日本から腕の良いプロの板前を連れて行く必要はなく、もっと人件費が安いアルバイトを雇った方がコスト削減になる。むしろ内装を日本風にしたり、顧客の要望を聞き入れたりするなど、顧客との接点を最適化して雰囲気やサービスで押し切ることの方が売上の安定につながる。その結果、カリフォルニアロールのような、本物の板前からするとあり得ないような独自のプロダクトが開発される。

こういった分かりやすい例えは、AI教育に格闘ゲームでの対戦を取り入れた大澤さんらしくていいですね。

一般に、昇進のために必要なスキルは、テクニカルスキル、ヒューマンスキル、コンセプチャルスキルという三つがあり、後ろに行くにしたがって上層部に必要なスキルになる。基本的に理系はテクニカルスキルに特化しているが、ヒューマンスキルになると文系に軍配が上がるため、必然的に上層部は文系が占めることになる。とはいえ、水平思考のようなコンセプチャルスキルは、理系でも学ぶことができるし、AIコンサルもプログラミングの素養が全くないと今度はエンジニアとコミュニケーションが取れなくなるので、ある程度は必要である。

理系の方が専門性はあるのに、文系や体育会系の方が評価されやすい構造を知ることが出来ました。3つをバランス良く身につけることが重要です。

後半は具体的な事例に基づき水平思考について紹介しています。
ゴール、定説、意外なファクト、新説といった考え方は非常に参考になりました。

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