米谷隆佑|Yoneya Ryusuke

98年生. 日記と珈琲. 医学生でバリスタの景色, ややこしい医療を観察するスナップ写…

米谷隆佑|Yoneya Ryusuke

98年生. 日記と珈琲. 医学生でバリスタの景色, ややこしい医療を観察するスナップ写真家.

マガジン

  • 日記と珈琲

    医療現場の近く、弘前に住みながら記録した日記と珈琲をまとめました。

  • JPCA2023へ -「地方」と「中心」、デザインと医療

    JPCA2023の所感がまとめて読める。まとめて感動できる。

最近の記事

日記と珈琲_4月

からだの8割が「珈琲と映画と本」で出来ている医学生です。医療現場の近くに立ち、弘前に住みながら撮った写真と日記をまとめました。 04/01 のぼり旗が短い周期で揺れるほどの強風が吹いている津軽平野。強い下降気流で雲の形が垂れ下がっていた。藤崎町のあたりのりんご畑のそばを車で走ると、野焼きの煙を突っ切ることがある。車内に燻した木材の香りが乱入して困ってしまうが、りんごの木の枝を剪定し、処理する光景は春そのもの。よく見れば、どの畑でも剪定枝を焼却している。町を過ぎたあたりで畑が

    • 日記と珈琲_3月の裏側

      からだの8割が「珈琲と映画と本」で出来ている医学生です。3月の裏側、日記をもとに書いたエッセイです。 季節の変わり目に、土埃をまとった雪が道端に残ると、「まだ冬だな」と感じることがある。雨が降っても、日が照っても、それは変わらずそこに存在する。軒下の小さな雪山はすぐに溶けてしまいそうで、その光景に対して別れの言葉を告げることもある。さようなら。冬の記憶をたどると、大抵の景色に雪が映り込んでおり、ぼくは雪国の人間なのだろうと思う。 しかし、なぜ「雪国の人間」だと感じるのだろう

      • 日記と珈琲_3月

        からだの8割が「珈琲と映画と本」で出来ている医学生です。医療現場の近くに立ち、弘前に住みながら撮った写真と日記をまとめました。 03/01 手術3件。助手1回。実習最終日。 17時、麻酔科医が曲を変えた。東京事変「幕の内サディスティック」が流れる。椎名林檎の声が部屋を埋める。モニターを眺める疲れ顔の医師、あさっての方向を見るオペ看、淡々と腹腔内を切る執刀医、そしてぼくら。哀愁漂いますね、とロックが好きな班員がつぶやいて1年間の実習が終わった。 ここで5年生の実習が終わり、

        • 日記と珈琲_2月の裏側

          からだの8割が「珈琲と映画と本」で出来ている医学生です。2月の裏側、日記をもとに書いたエッセイです。 ガラスが見たい。ガラスの透明さで気持ちが変になることが増えた。 山野アンダーソン陽子のガラスが見たい。彼女のガラスをつくるエッセイを読んで元気をもらったので、三部さんの写真を眺めていたいという衝動に身を任せて、展覧会が開かれる東京に行きたい。行って、すこし歪んだガラスの異質さに気付かされたい。 先日買って読んだ『MMA fragments』最新号の特集はガラスだった。素材に

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        • 日記と珈琲
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        • JPCA2023へ -「地方」と「中心」、デザインと医療
          1本

        記事

          日記と珈琲_2月

          からだの8割が「珈琲と映画と本」で出来ている医学生です。医療現場の近くに立ち、弘前に住みながら撮った写真と日記をまとめました。 02/01 12時、昼休み散歩。〈THE STABLES〉で展示中の「冬の星耕硝子」。ガラスをじっくり眺めながら、泡の位置がいいな、八角形の芸術だ、肌に吸い付く質感、なんて考え事しておろおろ買える作品を前にすると、鑑賞したいだけなのか日用にしたいのか、欲望の境界線上で遊んでしまう。値段だけ覚えて、なにも買わずに退店する。 13時半、スポーツ外来(と

          日記と珈琲_プロローグの裏側

          からだの8割が「珈琲と映画と本」で出来ている医学生です。noteで投稿し始めた「日記と珈琲」のさわりの残りの部分(裏側)、日記でよく書くことに触れます。 珈琲幼少の頃、田んぼの手伝いで飲んだ缶コーヒーが忘れられない。大人になろうと背伸びした苦い飲み物が、いまとなってはぼくを助ける活力となっていて日々の生活レベルを底上げする。生きるのに欠かせなくなった珈琲には格別の思い入れがある。 不可分の珈琲 珈琲はぼくにとって、不可分の興味だ。これ以上分解することの出来ない好みの対象

          日記と珈琲_プロローグの裏側

          日記と珈琲_1月の裏側

          からだの8割が「珈琲と映画と本」で出来ている医学生です。1月の日記をもとに書いたエッセイです。これからも月毎に日記とエッセイを寄せますが、今月はこうして書くことにした理由に触れたく、すこしだけまわり道をします。 2023年8月、くどうれいんさんとおしゃべりする機会があった。 『桃を煮るひと』の発売直後のイベント「桃に似たひと くどうれいんの空腹を満たす言葉のはなし(弘前れんが倉庫美術館 主催)」にくどうれいんさんが登壇すると聞き、質問を投稿した。会場で「よく書く」というペン

          日記と珈琲_1月の裏側

          日記と珈琲_プロローグ

          からだの8割が「珈琲と映画と本」で出来ている医学生です。noteで投稿し始めた「日記と珈琲」のさわりについてご紹介します。 これはどう言う日記?Threadsが生まれたとき、ぼくの日記も生まれた 昨年の夏頃からサービスが開始されたThreadsで「何して遊ぼうかなー」くらいの気持ちで過ごしてて、誰かが「日記くらいのゆるい投稿してこうかなー」と言っていたのを、好きな本屋の店主が日記を投稿していたのを見てから自分も何かを投稿してみようと思ってしばらく頑張ってみて、気が付いたら

          日記と珈琲_プロローグ

          日記と珈琲_1月

          からだの8割が「珈琲と映画と本」で出来ている医学生です。医療現場の近くに立ち、弘前に住みながら撮った写真と日記をまとめました。 01/01 実家で正月を迎える。はやく珈琲が飲みたい。 01/02 01/03 家に居てもすることがないので海に行って写真を撮ってきた。 01/04 01/05 弟とスナップ写真を撮りに海に行った。Leicaを構えて海岸を歩く姿が様になっているなぁと、そう思ってはいたが口にはしなかった。 01/06 01/07 17時、スーパーで知り

          日記と珈琲_12月

          からだの8割が「珈琲と映画と本」で出来ている医学生です。医療現場の近くにいながら、弘前に住みながら撮った写真と日記をまとめました。 12/01 12/02 12/03 朝、洗濯機に洗剤投げ込みながら鼻歌を唄ってみたけど、どんな歌だったか忘れちゃった。 昼、『観光客の哲学』を読む。気付いたら暗くなって、お腹が空いてスーパーに行ったら大学の後輩がいて、「ここ使ってるの初めて見ました。全然見なかったんですけど、このスーパー使ってたんですね」と声をかけられた。そっちが多く使っ

          JPCA2023へ-「地方」と「中心」、デザインと医療 #00

          僕は、いったい何を見てきたんだ! 今年は、JPCA2023で目が覚めたコロナ禍でなんとなく日本が小さくなってしまったような気がしていた。 旅行できない。僕の足は、いつも自宅か学校に向かっていました。 頭の中がモヤモヤ。鬱屈した生活。 その全てが吹っ飛ぶ経験が、JPCA2023にはありました。 総合診療に生きることが夢だったから、コロナ禍前の夏セミ(学生・研修医のための家庭医療学夏期セミナーのこと、参加者としてでなくスタッフとしても働いてた時期がありました)での思い出は爆

          JPCA2023へ-「地方」と「中心」、デザインと医療 #00

          ぼくの書き方とkotobaの感受性

          はじめまして。 地方の医学生です。日々の気づきと、ややこしい医療を基に日記とエッセイを書きます。 今回の投稿では、ぼくの構えを表すネタを2本お送りします。 kotobaとぼく 人間は「kotoba」を生成し続ける生き物です。kotobaとは虚構そのもの。現実を凌駕するパワーを持つ道具であり、有史以来、人類は"自分自身"と"他者"に向けて体験を伝え、勇気付けてきました。 ぼくのエッセイで書くことは、きっとどこか遠い場所、違う時間の誰かのもとに届くでしょう。 そして、こ

          ぼくの書き方とkotobaの感受性