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血溜まりの中で君を想う

血だまりの中で君を想う


 究極の愛とは何だろうか。
 僕が彼女に本当に愛を感じたのは、彼女が死んだ瞬間だった。美しいなどいう言葉では言い表せない彼女を、いつまでも手元に置いておきたくて、僕のすべてを捧げた。
 この世界は暗い地下室のようなものだ。蛾の群がる電灯。よどんだ空気。冷たい壁。そういった空間の中から、死ぬまで抜け出せない。しかし、愛というものはそんな暗くて冷たい世界を、あっという間に暖かくて美しい世界に変えてしまう。
 日常の中で、心を保つために愛は必要になる。ただ、その愛を獲得するためには、皆、どこか壊れていていなければならない。そうやって壊れたところから日常が破け、狂気がこぼれだしてくる。
 究極の愛とは狂気に他ならない。

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