よねり

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小説を書いて生きています。 Kindleでも発売しています。 https://www.amazon.co.jp/-/e/B00MDISNOC 本が売れないので株や先物を嗜んでいます。

最近の記事

死ぬまで殺す

死ぬまで殺す  生きる意味とは何だろう。暗い部屋の中で自問する。  俺は全て失った。家族も、仕事も何もかも。もう四十代半ばで、この先何の希望も見いだせない。それならいっそ……と考えているうちに、指が無意識にパソコンのキーボードを叩いていた。  自殺者募集という文字がパソコンのディスプレイに映し出された。これでいくつ目だろうか。これまで巡ったどのウエブサイトもダミーか悪戯の類いだった。  ロードされたページは黒背景に赤文字という見づらいデザインで、使われ

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    • 子供社会

      子供社会  茜射す部屋の中で、三人の男の陰が浮かび上がっている。三人とも個性的な体型で、どの陰が誰のものか、重なっていてもはっきりわかる。 「どうぞ、部長」 「どうぞ」  太った男の両脇から、二人が何かを差しだした。 「今日は何かな?」  男は巨体を椅子にねじ込むように座り直して、二人を見た。片方が顔を上げる。おかっぱ頭が特徴的で、ずる賢そうな顔をしている。躰が小さい割に、自信のみなぎった顔で巨漢を見た。「ベーゴマ屋の新作でございます」  その言葉に、脂肪で垂れ下が

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      • 涙雪

        涙雪 一  もうじき年が明ける。  この時期になると特別淋しさを感じるのは、寒さの所為だけではないことを僕は知っている。  村へ向かうバスの中で僕は思い出していた。小さい頃に見た幽霊のことを。  微弱な振動が、一番後ろの座席に座っている僕の尻を揺らしている。窓の上には、古くなって変色した広告が貼り付いている。退屈を紛らわせるために、その広告に目をやるが、乗物酔いの所為で、三分と経たないうちに、読むのを止めてしまった。  バスの中は暖房が効いていて、頬がぽ

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        • 血溜まりの中で君を想う

          血だまりの中で君を想う  究極の愛とは何だろうか。  僕が彼女に本当に愛を感じたのは、彼女が死んだ瞬間だった。美しいなどいう言葉では言い表せない彼女を、いつまでも手元に置いておきたくて、僕のすべてを捧げた。  この世界は暗い地下室のようなものだ。蛾の群がる電灯。よどんだ空気。冷たい壁。そういった空間の中から、死ぬまで抜け出せない。しかし、愛というものはそんな暗くて冷たい世界を、あっという間に暖かくて美しい世界に変えてしまう。  日常の中で、心を保つために愛は必要になる。ただ

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