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79.冬の40日(مربعانية الشتاء)

ヒジュラ暦1441.5.15  (2020.1.10)

毎回、冒頭にヒジュラ暦と書いているが、これはいわゆるイスラム暦と呼ばれるもので、サウジアラビアだと西暦はあるものの、公的にはヒジュラ暦で物事が動く。断食月として、よく耳にすることがあるラマダンというのもヒジュラ暦の9月のことだ。

このヒジュラ暦というのは太陰暦で、太陽暦と比べると1年で11日ほど短く、少しずつずれていくのだ。つまり、暦(カレンダー)と季節には関係がない。8月が毎年、夏ということではない。これが、私にとっては不思議なことだということを過去にも書いた。

先週、サウジ人の先生が
「今日は、暖かいがあと10日間、寒い時期が続くぞ」と言った。

確かに年末は、けっこう寒かった。
朝晩、10℃を切る日が続いて、風邪をひく学生も多かった。

私は暦のことを思い出し、どうして、この人は寒い時期がわかるのだろうかと思った。日本だとカレンダーには大寒、立春、夏至、といったことが書いてあって、なんとなく、「暦の上では…」と気候の変化をある程度、予測できる。

しかし、この人は何を基準にそんなことがわかるのか、疑問だったので聞いてみると、それがタイトルの「冬の40日(مربعانية الشتاء)」とのことだった。

今は「冬の40日」の最中で、あと10日で終わるけど、それまでは寒いぞという話だった。アラビア語で「マァルバーニーヤ」と発音するが、それが40日という意味で、それが1年で寒い時期を表す言葉としてあるようだ。ただ、わかりやすく「冬の」をつけて「冬の40日」と書くようだ。

その日は、それで、話が途切れてしまい、何でその40日がわかるのか、気になってエジプト人の先生に助けてもらって、調べてみると、「冬の40日」は、サウジでは天文学者が毎年、「冬の40日」に入る頃に、「今年は〇月〇日から冬の40日が始まります」と発表するようだった。それは何を根拠にしているかと言うと、星の動きを見ているとのことだった。

なるほど!当然と言えば、当然なのだけど、星の動きを知っていれば、今の季節を知ることができるわけで、暦が無くても、天気の予測はできるということだ。農業をしている人などは、星の動きをわかっているらしく、どの時期に種をまくかなど、星の動きで判断するとのことだった。

イスラム教はメッカの位置やお祈りの時間を判断するのに、天文の知識が発達してたんだろうな~と想像し、サウジらしいなと勝手に納得した。

今まで、学生からこの言葉を教えてもらったことはない。学生は知ってたけど、言わなかったのか、そもそも知らないのかは謎だ。

せっかく、覚えたので、翌日、サウジ人のおじいさんに会った時に
アラビア語で「寒い、寒い、冬の40日」と単語を言ったら、えらく喜んでくれて"おまえ、その言葉、よく知ってるなぁ”的な反応だった(あくまで私の推測)。

あと数日で、「冬の40日」が終わろうとしている。毎朝、自転車通勤をしているので、この時期だけは、ダウンジャケットを着て、手袋をして、ネックウォーマーをして自転車に乗る。サウジアラビアと言っても、寒い時は結構寒い。先日は午前6:00の気温が3℃だった。

この時期の朝は空気がキンっとしていて、朝方はこのタイプの雲がよく出る。朝日と交わって神々しく、自転車に乗るのが楽しいのも、この「冬の40日」だ。

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朝日がきれいなのも「冬の40日」のような気がする。

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