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87.五つ星ほしい☆

ヒジュラ暦1441.7.4 (2020.2.28)

今週は中間試験があったり、食事会と称して20 時に呼び出された教室で22時まで謎の教員ワークショップがあったり、翌日は砂嵐で休講になる等、ばたばたした一週間だった。

普段は自転車で通勤をしているが、夜の移動や天候が悪い時はUberを使って移動している。サウジアラビアではここ数年でタクシーよりもUberの方が一般的になった。値段の交渉も必要なく、目的地もアプリ上で設定できて、出かけることがだいぶん楽になった。

Uberのいいところは、客がドライバーを評価できることだと思う。5段階評価で、星5つだと満点1つだと最悪という具合だ。この評価があまりに低いと、Uberのドライバーとして働けなくなるようだ。利用者の方も、評価が低いドライバーを拒否するという選択肢もある。

この評価システムにより、ドライバーは乗客に対して、よりよく振る舞うようになることが期待されている。これがタクシーとの違いだ。

Uberが始まった頃は、サウジではドライバーはいろいろな国籍の人がいたようだが、数ヶ月前から、新規でドライバーになれるのはサウジ人に限定されているようで、実感としても、サウジ人のドライバーにあたるケースが増えてきた。

サウジ人のドライバーの場合、英語が話せる場合と、話せない場合が3:7ぐらいの感じで、こちらもアラビア語が話せないので、ほぼほぼ無言で乗車時間が過ぎていくこともある。時々、言葉の壁をものともせず、アラビア語で積極的に話してくるドライバーもいる。

だいたい、こちらの国籍の話をしてきて、ドライバーから

「フィリピン?」
「違う。」
「中国?」
「違う」
「インドネシア?」
「違う」
「どこ?(ややいらついている)」
「日本」
「お~~~~~~日本!」


という定型のやり取りがある(笑)もし、日本車に乗ってる場合は、ここで、いい車に乗ってるねと褒めておく。そうすると、「日本車はいいよ~」と言ってくれる。お互い、いい気分だ。

しかし、残念ながら、90%の確率で降車時にいらっとすることが起こる。支払いも終わり、さて、車を降りようかという時に、無口なドライバーも、アラビア語で話し続けたドライバーも、多くが

Five star!!」

と英語で言うのだ。「評価、5つ星、頼むな!」って感じ(笑)
まぁ、そこまではいい。こっちも、「OK、あとでつけとく」みたいに軽く答えるのだが、けっこうな確率で

「今、今、今つけて!」
みたいなことを言って、持っている携帯電話を指さし、今、私(運転手)が見ている目の前でつけろと。

もう、カチンだ。他の国でUberに乗ったことがないから、わからないのだけど、ドライバーが乗客にその場で評価を求め、しかも、満点をつけろということがあるのだろうか。

その上、頭がくらっとなるのは「俺(ドライバー)も、おまえに5つ星つけたから(おまえも俺に5つ星な)」的なことをジェスチャーとアラビア語で言うのだ。

Uberは乗客もドライバーから評価されるようで、確かに私も気づいたら「4.89」という、モヤっとする評価になっている(笑)

お客様は神様ですとまでは言わないけど、ドライバーが乗客に高評価を強制するってどんなサービス業?と思うわけだ。そして、その交換条件として、客としての高評価をあげるからと。私は愛想のない客かもしれないが、車中でタバコも飲食もしないし、ドライバーを待たせることもしない。そんな減点するところある?価値観の無重力状態図と地の反転が起こっている。

そんなふうに頭がくらっとしながらも、ふと、あれ、この既視感は何だろうと。この感覚、初めてじゃない。Uberだけじゃない。もう、どこかで何度も感じたことがある。それも最近。


そうだ。中間試験だ。

今週、口頭試験の評価をある学生に返したら、

学生:「どうして、減点されてるんですか」
私:「この言葉とこの言葉の意味がまちがってたよね」
学生:「そうでしたか?この言葉の意味はAで、この言葉の意味はBですよね」
私:「いや、それが逆だよね」
学生:「もう、理解しています。だから、ここは減点せず、満点にしてください
私:「いやいやいや(苦笑い)」
学生、ふてくされて立ち去る。

これだ!大学でも「満点ちょうだい」があったのだ。この得点の交渉は日常茶飯事だ。

この日はUberでもFive star!を聞き、私は彼らの「評価」に対する考え方が、私の前提と大きく違っていて、それが子どもの時から大人になるまで続いている道が見えた。

”評価って、多くつけたって減るもんじゃないじゃん、ならちょうだいよ”

この感じなのだ。これがけっこうやっかいだ。「評価」の意味を理解せず、だけど、高い「評価」が欲しい。この絡まった糸を解きほぐして、本来の評価の意味と、「被評価者」と「評価者」の関係を知ってほしいと思う。

大げさかもしれないが「評価」があてにならない社会というのは、恣意的で、信頼が成り立ちにくい。そんな気がしている。

Give me five, my drive deserve it.

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駄々こね太/ Essayist

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今日も、いいことありそうですね♪
サウジアラビアの大学で働いています。『こちらリヤド、43℃』はリヤドでの見聞録。『YONAYONA』は夜な夜な考えていることの備忘録(Y:)。試験放送版 on stand.fm https://stand.fm/channels/5ee238d59c38bc03261c6a2f