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端正な文を書く技術を、下手な文と比較して検証する

『&Premium』2019年 08 月号 [ひとりの時間は、大切です。]「ひとりでいるのが嬉しくなる16冊」のコーナー(illustration:Shapre text:Akane Watanuki edit:Wakako Miyake)。

江國香織、北村浩子、古屋美登里、米光一成、上野千鶴子、坂本美雨、武田砂鉄、植本一子8人が、ひとりでいるのが嬉しくなる本を2冊ずつオススメしています。
米光は、木村敏『時間と自己』と、高原英理『エイリア綺譚集』をプッシュ。

インタビュー原稿を端正にまとめるには

このインタビュー原稿がめちゃくちゃ上手くて、とっちらかった米光の喋りをピリッと短い原稿にまとめています。

端正なテキストで、巧さを押し付けてこないので、さらっと読んじゃうとさらっと読めちゃう。この端正さがどれぐらい凄いか、どれぐらい巧いか、わざと下手に改稿した文を比べてみるとよくわかるので、冒頭だけやってみます。

まずは、実際、掲載されている綿貫あかねさんによるテキストの冒頭を引用。

仕事柄ネット中毒気味なので、数年前から情報や人間関係から離脱する時間をつくっています。そのときは一冊持ってスマホは置いたまま、喫茶店に出かけて本を開く。その時間こそひとりだけの楽しい時間。これらは、そのときに読んだ本や読み返した本から、他の人にも薦めたい2冊です。

わざと下手にするのはいくらでも手があるのですが、今回は、書きやすいように書いちゃうとこうなるって感じで、改悪してみます。(いかにも悪い見本みたいな感じのデフォルメはしません)

改悪版(米光がわざと改悪したテキスト)

ぼくはゲーム作家なので仕事柄ネット中毒です。だからこそ、数年前からSNSなどのネット情報やわずらわしい人間関係から離れる時間を意識的につくるようにしました。そのときは本を持って喫茶店に行くんです。スマホは持っていかずに。これが至福の時間。そのとき読んだ本から2冊紹介しますね。

さて、ここから改悪版と比較して、掲載版がいかに巧いかを解説していこう。

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