楽しく文章を書くコツ
整えたり、届けたり、わかりやすかったり、読まれたりする文章を書くコツはたくさんノウハウが紹介されるけど、楽しく文章を書くノウハウってあんまりない。なので、楽しく文章を書くコツを紹介する。
これを書いている米光一成は、ゲーム作家で、ライターで、大学教授。仕事で原稿をあれこれ書いているのに、noteもほぼ毎日書いている。文章を書くのが楽しくて楽しくてしょうがいないからだ。文章依存症だ。
どういうふうに楽しく書いているか。ちょっと自分のなかの「楽しく文章を書くこと」を分解してみよう。
書くときは整えることを考えない
書くときに、文章をきれいに整えたり、構成をきれいにしようと考えないほうがいい。考えはじめると、文章から生き生きとした躍動が消え、縮こまったものになるからだ。書くときは、自分が伝えたい思いをどうすれば吐き出せるか、どうすれば文字にしてぶちまけられるかに集中しよう。
感情が動いたことを
そのためにも、「書くこと」は、自分の感情が動いたことを書くようにしよう。これを書けばウケるから、これを書けばいい人に見られるから、という理由で書き始めてはいけない。そうすると、整えざるをえなくなるからだ。おもしろい! すごい! うれしい! 腹が立つ! 怒った! わーー! おおおー! ひとことでは言えないけど気持ちが高ぶってる! そういった感情の動きがあったときに、「書くぞ」と思うようにしよう。
書く前に脳内で転がそう
感情が動くと、そのまま、おおおおおおおお!と書けない。無茶苦茶になる。落ち着け。書く前に脳内で転がそう。なぜおもしろいと思ったのか、何がすごいのか、どうして腹が立つのか、自分が怒ってるのは勘違いのせいではないのか。感情の動きを脳内で転がそう。転がすなかで、転がる真ん中を貫く軸を見つけ出そう。
裏を取ろう
脳内で転がしながら、裏を取ろう。あれがおもしろいのはこういう理由だと推測したらそれを立証する材料を探そう。すごいところを客観的に示すデータを探そう。自分が怒ってるのは勘違いではないのかチェックしてみよう。たとえば、本を読んで感動したことを書くときは、もういちど読み返してみるといい。最初に読んだときは作者の手によってのせられてるけど、二度目は少し冷静に分析しながら読める。おもしろさを生み出しているポイントが何かを推測して、それを検証するつもりで読み返すといい。
びくびくせずに書こう
こんなこと書くと馬鹿にされちゃうかも? 炎上しちゃうかも? こんなマニアックなネタだれにも読まれないかも? そういったことを考えちゃうと、どんどん書くものが縮こまっていく。のびのびと書けなくなる。「書くとき」「書く瞬間」は、そんなこと考えずに、とにかく乱暴に書こう。
最初のブロックで本当の気持ちをぶちまけよう
びくびくせずに書くコツは、最初のブロックで一気にぶちまけることだ。最初の1行以外読まれなくても、自分の言いたいことは言えた、そういう1行を書こう。簡単だ。ストレートに書けばいい。たとえば、ぼくが朝日新聞テリングに書いた原稿の最初のブロックはこうだ。
「ザ・イングリッシュ・ゲーム」が、おもしろい。
「ダウントン・アビー」+「半沢直樹」+「GIANT KILLING」をミックスしたおもしろさなんである。
ドライブする気分で書き進めよう
最初のブロックで結論を吐き出したら、そのゴールに向かって読者を連れて行ってあげるドライブの気分で書き進めよう。脳内で転がした材料を示せばいい。最初の材料でドライブのトーンが決まる。楽しくいくのか、スピードをだすのか、クールなのか。だから気持ちがはっきりとわかる材料を最初にもってこよう。あとは、そこから繋がる材料を出していけばいい。
かっこいいフレーズはかっこわるい
最後にかっこいいフレーズを持ってくる必要はない。最初にゴールを示しているので、ドライブ気分で読者をそこに導いていれば、何も言う必要はない。同じ景色を観てることを祈ってすっと終わろう。かたちを整えようとして締めのフレーズなんか書いちゃうから縮こまるのだ。かっこいいつもりの締めのフレーズって、たいてい読者に見透かされて「かっこつけたな」と思われちゃうよ。
推敲で削ろう
楽しくのびのび書いたら推敲をしよう。乱暴に書いたので、脱線したり、枝葉が茂りすぎたりしてるかもしれない。同じ内容を二度くりかえしてることもある。削ろう。削ろう。どんどん削ろう。
頭と尻尾を確認しよう
最初のブロックと、最後のブロックが、削れないか検討しよう。頭と尻尾は、書き手のエゴや見栄が出やすい。たいてい削れる。入れなくても文章が成立するなら、えいや!と削ってしまう。
最後に確認
自由奔放に書いたので、炎上しないかどうか最後にちょっと確認。炎上しちゃうとしんどいからね。
書いたあとで確認するのがコツだ。書く前や書いてる最中にこれしちゃうと「自己検閲のブレーキを踏みながらアクセル踏んで書く」なんて無理難題になっちまう。
noteは、テキストを有料にすることもできる。これも活用しよう。有料にすると、文章をつまみ読みして誤解する人が減る。誤解されそうなテキストのときは有料にしちゃうのもいいかも。
noteを楽しく続けるコツ
ここからは応用編。楽しく文章を書きながら、noteを楽しく続けるコツを紹介しよう。noteの特徴は、文章を書くことでゆるやかなコミュニティを作れることだ。(フォロワー数1万7200人超えました。ありがとう)
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