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写真(創作ショートショート)



「写真撮っていい?」

『いいけど、一緒に撮ろうよ』

「私はいいの」

『なんで?』

「写真ってさ、その人が見て、かわいいな、いいな、綺麗だな、と思った
ものを撮るものだと思うんだ」

『そこに自分は入ってないの?』

「うーん、自分を入れると自分ばっかり見ちゃわない?」

『そうかな?』

「だって、大体撮り直す時って、自分の写りがイマイチだった時じゃない?」

『あーそれはあるかも』

「無意識でも、自分が写ってたら、自分に注目すると思うんだ。だから、あんまり自分は写りたくたいんだよね」

『そうか〜』

「それにさ、自分が死んだ後に、今まで撮った写真見られて、自撮りばっかりってなんか嫌だなぁって。私が素敵だなと思ってたことを写真を通して知ってもらえた方がいいなぁって」

『そうか〜。じゃぁさ、僕が君の写真を撮っていい?』


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