月が綺麗な夜だから(創作)
『今日何食べる〜?』
「何でもいいよ〜」
『何でもいいが一番困るんだけどな〜』
「あ、今日って中秋の名月ってやつだよね」
『そういえば、そうだね』
「じゃ、月見バーガー食べよう」
『月見だけに?』
「それな!」
『いいけど、言い出した人が買ってきてね』
「分かった、買ってくる〜」
同棲して約3年。結婚の話は全然出てこないけど、する気あるのかな?
「ただいま〜、買ってきたよ〜」
『おかえり、ありがとう。せっかくだから、月、見ながら食べよっか』
「いいね〜、ベランダから見えるかな〜?」
2人でベランダのある窓際に並んで座る。
「いただきます」『いただきます』
『この時期になると、毎年食べてる気がする』
「そう?」
『そうだよ。だって、まーくんに会うまでは食べてなかったもん』
「そうだったの?知らなかった」
『まだまだ知らないことがあるよね〜』
「そうだね〜」
『あ、ほら見て、月が出てる!』
「ほんとだ」
『月が綺麗だね〜』
「あ、先越された」
『どういうこと?』
「なんでもないよ」
誠は、正座をして彼女の方を向いた。
「ずっと一緒に月を見てくれますか?」
『それってプロポーズ?』
「はい」
『やり直しを希望します』
「え〜?なんで〜?勇気出して言ったのに」
『マック食べながら言われてもな〜。月見バーガーに罪はないけど』
「分かりました。やり直させてもらいます」
『次はお願いしますね、坊っちゃん』
「あ!やっぱり!」
了
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