クリスマスのタンゴ
今日はクリスマスイヴ!
ということでクリスマスにちなんだタンゴ名曲を紹介‥‥といきたいところですが、意外にもクリスマスに関連したタンゴはあまり知られていません。
アルゼンチンはキリスト教国であるにもかかわらずです。
これはちょっと不思議ですね。
クリスマスを歌ったタンゴもかつては作曲されていましたが、残念ながら多くの人が知るような時代を超えて演奏されるような名曲はあまり生まれなかったようです。
とはいえそれでは味気ないので、少しクリスマスのタンゴを紹介しましょう!
Navidad(クリスマス)
巨匠オスバルド・プグリエーセ作曲の、ずばり「クリスマス」というタイトルの作品。
鐘の音、コーラス、ギターなどの音色にも彩られた美しいワルツで、さすがプグリエーセ、クリスマスのムードをうまくタンゴとしてまとめています。
歌詞もクリスマスの事を歌っていますが、もう戻ってこない幸せだった子供の頃のクリスマスの想い出という、タンゴだけにやはり少々ほろ苦い内容です。
Feliz Navidad(メリー・クリスマス)
歯切れのいいリズムが魅力のフアン・ダリエンソ楽団もクリスマスにちなんだ作品を取り上げています。
こちらも華やかな雰囲気のワルツで、「乾杯しよう兄弟、乾杯しよう友よ」とストレートに祝いのムードにあふれた歌詞です。
Candombe de navidad(クリスマスのカンドンベ)
初期のタンゴにも影響を与えたと言われる「カンドンベ」を取り入れた不思議な雰囲気のクリスマスソングです。
カンドンベはウルグアイ発祥の黒人音楽にルーツを持つリズム。
アフリカの文化とヨーロッパの文化が交差する南米らしい音楽ですね。
ウルグアイのカーニバルではカンドンベはいまでも盛大に演奏されており、アルゼンチンの音楽にも影響を与え続けています。
Navidad de los Morenos
名歌手ホルヘ・ビダルの歌う、こちらもカンドンベの影響を受けた作品。
ここまでの曲を考えると、クリスマスに関連した作品は、タンゴのリズムよりもワルツやカンドンベの方が多いような気がします。
クリスマスの祝祭的なムードにはこういったリズムの方が軽やかで似合うと考えられているのかもしれません。
アベマリア
こちらは直接クリスマスには関係ないのでちょっとこじつけですが、アストル・ピアソラの作品です。
名曲「オブリビオン」とならんで映画『エンリケⅣ』の挿入曲として知られていますが、インストルメンタルバージョンの「Tanti Anni Prima(昔々)」に対してこちらは歌入りのバージョン。
ピアソラとの共演も多いミルヴァの迫力ある歌でお聴きください。
手前味噌ですが、この「アベマリア」をギターソロに編曲してみました。
こちらもぜひお聞きください。
ペケーニャ(Pequeña)
最後にクリスマスやキリスト教とは直接関係はありませんが、可憐な雰囲気がクリスマスにぴったりなので番外編として選んでみました。
飛行機事故で夭折したピアニストのオスマル・マデルナの代表曲です。
「ペケーニャ」とは小さな女の子といった意味合いで、タイトル通りの可愛らしいワルツです。
Amores Tangosという楽団の演奏ですが、バンドネオンとアコーディオンという珍しい編成です。
最後にはオルゴールから皆さんご存知のあの曲が聞こえてきて‥‥
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