5月15日 佐川のお兄さんには猫の邪魔が入らない

今日の夫はいちにち収録日で、私と猫は留守番である。
月に1度の4本撮りであり、夜はいつも通りぐったりとして帰ってくるはずだ。

一方、今日の私はタスクが多い。
まずはPC仕事をして、近所のクラフト市で買い物して、荷物を発送して、食料を受け取るのだ。
と、まずはPC仕事に取りかかったら、4時間もかかってしまい呆然とした。

こんなはずでは……

クラフト市イベントは終了間近のため、こうなったらいっそ出かけるのは諦めて読書の日とする!と猫に宣言した。
というか、PC作業中ずっと猫に邪魔され、激しく攻防していたためこんなに時間がかかったのだ。
君のせいだぞ!と猫に抗議もした。

私の計画は狂ったが、頼んでおいた集荷と食料は時間通りに来て、みんなすごい。
いや、私だって猫の邪魔が入らなければ時間は守れたはずである。
ただ佐川のお兄さんには猫の邪魔が入らなかったというだけのことだ。

あいかわらず全く記憶のないABC殺人事件を読み進めるが、古い訳のもの(しか図書館にはない)のせいか、私の世界史力が足りないせいか、どうにもすんなり入ってこない。
島田潔とかはすぐ覚えられるのだけど。

夫が帰宅し、大崎クールジェンプロジェクトのすごさについて熱く語っている。
夫は定期的に何かに対してものすごく熱くなる人間で、どういうわけか周囲からはその熱さをうざったがられたり疑われたりしているようだが、私はこっそりと一目置いている。
彼が熱くなる事柄は、近い将来、概ねちゃんとブレイクするのだ。

ではなぜ彼の熱さが軽んじられるのか、それは彼が性善説に生きている人間だからだと思っている。

「そんなに面白い話はYouTubeで配信したらいい」
「これからは絶対格安SIMにすべき」
「全資産を円で貯金するのはリスク」
などと昔から彼は熱くなってきた。

それを本気で受け止める人間が彼の周囲に少ないのは、
「そんなに良いなら他人に勧めるわけがない」
と疑っているからではなかろうか。
それほど熱心に勧めてくるのは何か訳があるはずだ、と。

しかし夫は本気で思っているのだ。
「みんな絶対こうした方がいいのに」と。
本気で、みんなに喜んで欲しいと思っているのだ。

それなのに周囲は取り合わず、そしてずっと後になってからYouTubeを始めたり、格安SIMに乗り換えたりすることになり、それを見て、夫は虚しい気持ちになるのだった。

かわいそうな夫ではあるが、私は周囲の反応が理解できないわけではない。
夫のものすごい熱波に当てられると、「え、なんでそんなに熱心なわけ」と戸惑わずにはいられないのだ。

結婚してまだ数年だが、最近やっと熱波に慣れてきたところだ。
夫と暮らしていたら、いつか自分も性善説で心が清らかな人間になれるかもしれないと思っていたが、今日も電車内でスリに開けられづらいリュックを探しているので、それはまだまだ先のことのようだ。

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