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2020年ベストムービーについて    ~その2~【11位~6位】

前回は2020年ベストムービーのノミネート作品を紹介しました。

前回note→2020年ベストムービーノミネート作品

ねー。いい映画ばっかりですねー。

さて、では早速ですがベスト11を紹介します~


11位「男はつらいよ」1969年 日本 山田洋二監督

2020年の映画だって言ってるのに早速オールディーズからwコロナの自粛期間に観ました。最高の人情映画でした。

生き別れになっていた兄の寅次郎(=渥美清)が妹 のさくら(=倍賞千恵子)が住む葛飾柴又の団子屋に帰ってくるところからストーリーは始まる。寅次郎の自由奔放なキャラクターに周りの人間は振り回されるけれど、寅次郎の根っこの人柄の良さとピュアさに誰も寅次郎を憎めない。テンポとキャラクターと人情が最高の作品。

今回このコロナ禍でこの映画見たわけですが、そんな中で流れてきた新聞記事がこちら。(東京新聞『柴又の料亭「川甚」がコロナ禍で創業231年の歴史に幕』

川甚はさくらが結婚式を挙げた料亭。寅次郎のせいでさくらの結婚の話が破談になったあとにすったもんだあって、ちゃんと好いた人と結婚できることになるんですよね。で、結婚式で寅次郎も一張羅を着て兄として振る舞うんだけれどやっぱり格好をつけきれなくて、でも兄としての姿がめっちゃ心に沁みる。感動的でありながら間の抜けたベストシーン。その結婚式の舞台となった場所がコロナ禍で潰れるとは。哀しい。。。

寅さんの映画でもう一ついいところは、川甚のような古き良き時代の姿が生き生きと映されるところですね。街並みとか風景が悉く昭和の人情があふれていた時代のもので、行ったこともないのに何故か懐かしい、郷愁の念を感じてしまうという不思議さ。団子屋の近くとか川沿いとか今の日本にはすっかり少なくなった景色なのでは。ところが、映画の中で寅次郎が京都と奈良を闊歩するシーンがあるのですが、なんと、、、京都の街並みってそんなに変わってないのね。。素晴らしい。。


10位「マリッジ・ストーリー」2019年 アメリカ ノア・バームバック監督

↑(ニコールのいいところ)

↑(チャーリーのいいところ)

結婚してすぐぐらいに友人から「とにかくいいから見ろ」と紹介された映画。なのに、中身を見ると「結婚」というものの始まりと終わりまでを描いた題名通りのマリッジストーリーだったわけです。いや、マリッジストーリーやけど、新婚に紹介するないようじゃないぞっと映画館で微笑w

ただ、映画としては良すぎて満面の笑みに。2020年の映画の中で演技で魅せた映画ナンバーワンと相成りました。ブラック・ウィドウ(スカーレット・ヨハンソン)とカイロ・レン(アダム・ドライバー)ってこんなに演技巧かったのか。。なめてましたすみません。。劇中にスカーレット・ヨハンソンの長回しのシーンがあったのですが、その演技だけで魅せきる姿に感動。女優の演技の長回しで感動したのは、「愛のむき出し」の満島ひかり以来かも。ちなみにそのシーンも落ちてたので↓

ま、これはラジオを一緒にやってる足下研さんから教えていただいたのですが、マリッジ・ストーリーではあたかもアドリブにも見える夫婦喧嘩のシーンがあるのですが、その口論なんて結構激しくて本当の夫婦喧嘩みてるような空気があって、でもその素晴らしい演技たちの一言一句が実はノア・バームバック監督の脚本に載っていたという。。監督が一番狂っている良作なのでございました。


9位「smoke」1995年 アメリカ ウェイン・ワン監督

ハーヴェイ・カイテルって超かっこいいじゃないですか。特にタランティーノ映画の中のイメージが僕の中ではすごく強くて、「パルプフィクション」のウルフのキャラとかもう最高。これね。

ウルフ

そのかっこいいおじさんがよ、タバコ屋の店主だというのが「smoke」という映画なのです。アクションもないし、死体を掃除したりもしないんだけど、出てくるキャラクターたちが織り成すストーリーがいちいちおかしみがあって優しい。その筆頭がもちろんハーヴェイ・カイテル演じるオギー・レンが最後に語るクリスマスの物語。

でも、そのほかのキャラクターもそれぞれドラマを持っていて、そうか、よく思い出していくとオギーの存在や行為によってみんな救われていくんだ。寅さんとはもちろん全然違うんだけど、アメリカ的人情噺なんだよなぁ、と思ったのです。

自分的にはベストクリスマスムービーとなりました。デンゼル・ワシントンになれなかったら、ハーヴェイ・カイテルになりたいなぁ。


8位「チィファの手紙」2020年 中国 岩井俊二監督

岩井俊二監督なんだから、ラブストーリーなんでしょ?とか思ってみてみたら、いきなりお葬式から始まる不意打ち。学生時代にはみんなの中心にいた女の子が、大人になってから死んでしまったところから始まる。その死の周辺にはどうしたって哀しい物語が付きまとうんだけど、学生時代のコンプレックスとか恋愛とか生きていくこととか夢とか、大人になってから思い出す青春のすべてが詰まっている

しかもただ語られるのではなく、それぞれが手紙という手段をとおしてだんだんと繋がっていくというのが、すごく上手い。誰かが誰かを好きでその恋愛模様を描く、なんて浅いところで全く終わらず、親との死別とかおばあちゃんの恋とか過去の傷とか生きるツラさとかでも生きてかなきゃいけないとか、そんなところまでさらっと描いてくれる。感動しちゃったんだよなぁ。

是非見て欲しいのであんまり説明しないけれど、「チイナンの手紙」じゃなくて「チイファの手紙」ってなってるところにすごく好感を持ったのでしたー。


7位「ハッピーオールドイヤー」2020年 タイ ナワポン・タムロンラタナリット監督(監督の名前が長くて綺麗に文字が配置できないや)

「捨てる」という行為を丁寧に突き詰めた良作。ある視点ベストムービーです

例えば、彼氏を振ったのも捨てた、ということ。では、捨てたものとは好き勝手に関係を切ることはできるのか、いやそれは違うくて、映画の中では何かを捨てても相手が覚えているうちは捨てることにはならないと語られる。この考え方をを聞いたうえで、捨てられる物の視点で物語を書くとトイストーリーが始まりそうやけど、この映画はそうは行きません。

物を捨てたと思っていても相手が覚えていると完全に捨てたことにはならない、というのは「捨てる」ことを追求したほんの一つの「考え方」で、この映画にはもっと芳醇な捨てるをめぐる考え方や感情が描かれていく。めくるめく「捨てる」ムービー。とか書いてるけど、その一つ一つの「捨てる」を説明するストーリーがちょっと悲しくて、自分の中でもハッとさせられるのです。

ほんとこの女優、チュティモン・ジョンジャルーンスックジンめっちゃいいですよなぁ。この前作の「バッド・ジーニアス」が良すぎたもんやから、これも観にいかなきゃなーと思って軽く行ったら、女優としての魅力はこっちのほうが強くて驚き。まぁ、バッドジーニアスはデビュー作だったてのもあるし、映画そのものがドキドキする展開やったからなぁ。

ところで、チュティモン・ジョンジャルーンスックジンさんはあだ名というか呼び名がオークベープらしいですが、どんな意味なんやろ。知ってる人教えてください~


6位「アルプススタンドのはしの方」2020年 日本 城定秀夫監督

2020年の応援したくなる映画ナンバーワンはこれ!!絶対これ!!しかも、何者にもなれない悩める人すべてを救ってくれる要素も入っていてこれ作った高校の演劇部の顧問の先生は優しい物語を作ったなぁ、と。

高校の演劇部で作られて演じられてたと聞いてから映画を見て、その内容に対して「こんな内容を高校生が作ったとしたらどんな深い経験してきたんや・・嘘やろ・・」と思ってたら、案の定先生が作ってらっしゃいましたw

なんでこの作品がいいんだろうと自分なりに考えていたら、この物語のどこかに自分を見つけることができるからだなぁ、と。頑張ったあいつなのか、何かをあきらめたあいつなのか、他人に嫉妬してしまうあいつなのかはわからないけれど、絶対に自分の中のうじうじした奴を劇中にみつけてしまうと。そこに親近感も沸くし、なんか一気に救われた気にもなるしで、すっきりとまとめられてもいて、あぁいい映画だなぁってなったんですよねぇ。

日本映画での脚本が一番よかったのはこれかなぁ。


以上!!!

続いてはベストファイブをお届けしますよー

お楽しみに!!!

ちなみに、2020年の上半期ベスト11を語ったラジオはこちら~


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