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楽しみと、日常と、幸福感と、余談と。
定時日。
帰宅後、お風呂の蛇口を開け、浴槽に湯を張る。
普段は帰宅が遅いこともあり、シャワーで済ませることが多い。
早く帰った日のささやかな、楽しみである。
とはいえ、家事は誰もやってくれない。
湯がたまるまで、効率重視で家事に勤しむ。
近頃はあつい。
梅雨時期の部屋は、なんともなんとも湿気を帯びた、蒸しあつさである。
サウナ状態。なにも整わぬサウナ。
僕は例に倣って、パンツ一丁になる。
効率重視だ。空調が効いてくるまでの間はこうやって過ごすのだ。
そして、ただ暑さゆえにパンツになったわけではない。
家事をするための、ギアを入れる。
心なしか、ギアチェンジの音が脳内に響き渡っている。
お料理だ。お肉を炒める。
コンロのつまみを回し点火。
全開で行くぜ!!!!!
車ネタだけに乗っかって書いたが、我が家はIHなのでボタンを押すだけだ。
余談だが、所有免許はAT限定解除だ。完全に余談だ。
パンイチでする炒め物は油に対して守備力が著しく低下する。
おすすめはしない。
同居人がいるのならば、軽く注意されるか、無視されるだろう。
やはり、おすすめしない。
誰もいなくても、ふいに襲ってくる、虚無感ときたら、極刑だ。
やっぱり、おすすめしない。
いつ、だれに見られても恥ずかしくないように、立ち振る舞いなさい。
なんて、よく言われたものだ。
思い出すと、恥ずかしいものである。なんとも惨めだ。
お皿に炒め物をよそっていたら、何やら浴室が騒がしい。
やっちまった。
お風呂の存在を忘れていた。
仕方がないので、ひたひたに溜まったお湯の中にダイブした。
溢れ出るお湯は、皆が一度は何かしらで見たことある、お風呂映像のようになっている。極楽。
流れゆく水を眺めていると思い出した。
幼いころ、お湯ひたひたにしてダイブする行為は極刑だ。
僕が幼いころだから、コロナなんてものもない。
その辺のロッケンローラーはライブハウスだろうと浴槽だろうと構わず飛び込んでいただろう。
もはや、全盛期か。
そんな、ロックの象徴であるダイブ。我が家では禁止されていた。
水がもったいないからだ。のちのSDGsである。
そんな、水源問題が囁かれてたり、囁かれてなかったり、する現代で
申し訳ない気持ちもあるが、なんとも贅沢なことをしていると感じた。
幼い日の僕ならば、何者かに闇討ちされる案件だろう。
そして今、涼しい部屋でこうして、文字を打っている。
意外と、贅沢で幸せな生活ではないかと思ってきた。
幸福感に満たされた。
余談だがパンイチだ。
効率なんて関係ないのだ。
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