「なかなおり」 木村研


今日も外にいけない。
 はるとが、だいすきな「かえる」の本を読んでいると、妹のあきなが、
「みせて」
と、絵本をひっぱった。
「だめだよ。今、読んでるだろう」
「だめ。あきなちゃんが読むの」
 あきなは、おもいっきり引っぱった。
 にぶい音がした。
「あっ。破った。あきなが悪いんだぞ」
 はるとが、あきなの手をたたくと、
「う、うわーーん」
あきなの大泣きがはじまった。
「なにしてんだよ」
 となりの部屋で寝ていたお父さんが、もぞもぞと起きてきて、
「なーんだ、なんだ。やぶっちゃったのか。しょうがないなあ」
と、いった。
「だって、おにいちゃんがわるいんだよ」
「あきなだよ。あきなが、いきなり引っぱったからだぞ」
 はるととあきなが、一度にいうと、お父さんは、いきなり絵本を、びりびりにやぶった。
「あっ」
 はるととあきなが目を丸くしていると、お父さんが、
「さあ。パズルしよう。元の形にするんだぞ」
と、やぶれた絵をつなぎはじめた。
 ジグソーパズルだ。
 パズルの好きなはるとは、
「それは、そこ。これは、こっち」
と、やぶれた絵をつなぎはじめた。
「じゃあ、これは?」
「ここじゃないか」
 ジグソーパズルが完成すると、はるととあきなは、なかよくバンザイをしていた。

(作者のことば)
楽しみにしていた連休も家にいなくてはダメって悲しいですね。でも、好きな絵をはさみで切ったり破ったりして、かんたんなジグソーパズルをやってみよう。何にもなけれは、新聞紙でも大丈夫ですよ。

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